#その34 それはいいですね、ハルト船長とデートみたいです
#その34
「そうか、あのルミナがこの船の知性なのか・・・」
ハルトは昨夜、宇宙船でもあるルミナと愛を確かめ合った。
一夜明けるとなんだか不思議な気分である。まるで自分も宇宙船ルミナの一部分になったよう気分だ。
「よし、起きよう」
ハルトはそう独り言をつぶやくと、ベッドから起き上がり、フロアに立つ。
船長室のロッカーに揃えられていた船長服に着替えると、船長にふさわしいっぽい帽子をかぶる。戦闘の可能性がある場合は宇宙服仕様を着用しようとマイルールを定めている。
船長室の扉を開けて通路に出る。すぐ隣の操船室の今は空けっぱなしになっている分厚い通路をくぐるとすでにルミナは着席して操船宙のようだ。
異世界宇宙の一年、毎日の時間配分は惑星ごとに当然変わるために、ルミナに聞いてもよくわからない。宇宙船ルミナではハルトの提案により元いた世界の地球時間を標準時間として採用している。
よって一日は24時間であり、一年間は365日だ。ハルトは毎日8時間睡眠が必要な人類であることはこの宇宙世界でもなんら変わらない。ルミナはハルトの提案を聞いて、セシウムの性質から1秒の長さを割り出す。1秒間が定義されれば、すぐに24時間は算出できる。この結果を元に時刻を時計としてわかりやすく船内に表示してくれているので、ハルトにはとてもありがたい。
「船長、おはようございます」
「おはよう、ルミナ」
船長室でハルトと愛を確認したルミナも、今ここにいるルミナも、同じルミナではあるけれど、今日のルミナは受け答えがはきはきしていて気持ちがよい。
「ハルト船長、これからの活動と行動をどのように計画しましょうか」
「うん、じゃあ、早速で悪いけれど、まずインターワープ航法ユニットを探すことを目的としてはどうだろうか」
「はい、艦長、それがいいと思います。私も失ったユニットが見つかると自分の欠損部分が埋まるようでうれしいです」
「じゃあ、手始めにプラズマエンジンの調子を試したいから、しばらく宇宙空間を航行しようか。」
「それはいいですね、ハルト船長とデートみたいです」
「俺もうれしいよ」
「ハルト船長、探す目的地ははどこに設定しますか」