#その333 できません、航法ユニットが破損していてコマンドを受け付けません
#その333
新たにインストールした航法ユニットは改良がかなり進んでいるらしい。その効果としてなのか、時空の歪みを事前に検知できるらしく、巧みにかわすことで揺れや歪みの少ない安定したIW3内航行を実現している。操船室内に表示される航法ユニットからのステータスもオールグリーンだ。
インターワープ3内の航行も順調に進み、出口までのカウントダウンに入ろうとしたその時、事件が発生する。
#航法ユニットから爆発音
ずーん。
操船室後方の様々なユニットを収納している小部屋から嫌な爆発音が聞こえる。
「びーっびーっ」
船内には異常事態が発生したことを示す警報が嫌な音で鳴り響く。
「セイル航海長、何が起こった?」
「わかりません、航法ユニットに異常発生、です」
「びーっ、びーっ・・・」
警報音はな鳴り続けている。
「トーダ船長、本船の航路がIW3側壁に向かってずれています」
航行モニタを見ているセイルが船長に報告する。
「なに?どういうことだ?」
トーダはセイルに意味がわからず聞き返す。
「まもなくワープアウトするはずなのですが、横にそれています」
「横というのは?」
「インターワープ内は上下左右という概念はないのですが、本船から見て、右方向です」
「それは、聞いたことがないな、まずい状況だろう」
「航法ユニットの異常のためと思われます、どうしましょうか?」
「ハイパードライブ、減速、まずは速度をゆるめよう」
「セイル了解、ハイパードライブ出力40に低下」
「なーに、間もなく出口だ、緩めても慣性で出口まで行けるだろう」
「船長了解、ハイパードライブにより減速を試みます・・・できません、航法ユニットが破損していてコマンドを受け付けません」




