#その332 インターワープ3、突入成功、巡航に入りました
#その332
「うん、ありがとう、それではこのままの航路を維持、出力100にして、インターワープに入ろう」
「了解!」
それから数時間、インターワープ3までの航行は何事もなく進む。そして・・
「まもなくインターワープ3です」
航海長セイルが報告する。操船室は一気に緊張が走る。船長トーダも緊張を高める。
「インターワープ3に接近中、距離1000・・・400・・・300・・200」
「船長より乗客の皆様へ、本船はまもなくインターワープ3に入ります。IW3通過中は独特の揺れが船内に発生します。気分が悪くなった場合は遠慮なく船長までご連絡ください」
「セイル航海長、ハイパードライブ起動」
「ハイパードライブ起動確認ステータスブルー、動作開始します」
セイル航海長が報告する。操船室は静寂に包まれる。
「インターワープ3突入開始!」
セイル航海長の報告とともにブリッジが一瞬真っ暗になり、そしてすぐに元に戻る。
「トーダ船長、全システム異常なし、です」
「セイル航海長、了解、よかった、ご苦労さん」
船長トーダがセイル航海長に労いの声をかける。インターワープは通過中よりも出入りの際がひときわ緊張を強いられる。トーダの経験によればインターワープインの方がワープアウト時よりも不測の事態が起きやすいと感じている。
そして、今、ハイパードライブは問題なく動作し、インターワープ3に突入している。新たに取り付けた航法ユニットも快調のようだ。気のせいか、突入時の衝撃や通過中の揺れは新ユニットの方が少なく感じる。
「インターワープ3、突入成功、巡航に入りました」
セイル航海長が報告する。
「船長より乗客の皆様へお知らせします、本船はインターワープ3において巡航運航に入りました。これよりベルトの着用は解かれますので、シートをリクライニングするなどして、お寛ぎください。食事につきましては、キャビン後方のビュッフェコーナーにてセルフサービスとなっております。お好きなものをお食べください。なお、次のベルト着用は24時間後、インターワープアウト時の予定です」
トーダ船長のアナウンスにより、クルーザーイルカ号の船内にはゆったりとして雰囲気がただよう。キャビン内の黒ずくめの男たちも心なしか、緊張が解けたように見える。
船内ビュッフェではアナウンス通りAIメイドによる食事やアルコールなどの提供が始まり、さらにのんびりムードになる。