#その327 インターワープを通過できる確率は5分5分で、これでは正直言ってギャンブルと同じだ
#その327
トーダはオーナー船長だ。ある時、割が良いが危険な仕事の募集があり、一か八か挑戦したところ、なんとコンプリートできてしまった。
その時の莫大な報酬でイルカ号を購入することができたのだ。その結果、雇われ船長から、オーナー船長にに昇格することができた。
オーナー船長は船体をはじめとして全て自前で調達しているかわりに高額な成功報酬を受け取ることができる。特に惑星間航行ともなれば、1年分の通常報酬をわずか7日間で稼ぐことができるほどなのだ。
イルカ号のもう一人の常勤乗組員トーダの頼もしい片腕は航海長セイルだ。年齢もはっきり聞いたことはないが、だいたい同じ位らしい。
二人は若い時に同じ宇宙船に乗り組んだことをきっかけとして意気投合し、示し合わせて同じ船を希望することを繰り返した。
こうして何隻か渡り歩いた後で、最初の宇宙船をお金を折半して共同購入して以来、船長と航海長として働いている。登録的には船長が総責任者ではあるが、二人の間に身分の上下は全くない。
インターワープが発見されてから、惑星系間の移動が可能となる。黎明期にはインターワープを通過できる確率は5分5分で、これでは正直言ってギャンブルと同じだ。
しかし、インターワープを運よく通過でき、人やモノの惑星間移動に成功すれば莫大な利益を生み出す宝の山でもある。
そのために、不十分な装備でインターワープ突破を試みる宇宙船と船長たちが後をたたず、その結果インターワープ内の時空の歪みにはまり込む事故が多発する。
かなりの数の船舶がインターワープ内で破損または今でもさまよっているといわれているが、現状確認するすべはない。
その状況を重く見た惑星間連合体は、まずインターワープについての情報を非公開とした。それまでわかっていたこともデータベースをロックして、許可なく閲覧することはできなくする。
次にインターワープを通過するためにはハイパードライブが不可欠だ。ハイパードライブを駆動するために必要なデータを同様に非公開する。
そして、インターワープを通過するための航法およびハイパードライブを駆動する仕組みをセットにして航法ユニットとする。この航法ユニットを入手するためには惑星連合体に宇宙船の登録が必要としたのである。
航法ユニット入手のための登録制は当初は激しい反発を受けるが、安全確保を第一とする趣旨が受け入れらる。また航法ユニットを装備していることは、惑星連合体登録済みであり、宙賊ではない、宙賊と関係していないことの証明になり、やがて宇宙世界に広く受け入れられることになる。




