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#その322 ハルトたいちょ~、ルミナのこと、ほんとーに、しゅきー?

#その322


 ハルトが一応乾杯の音頭を取るが、会場はすでに酔っ払いが跋扈しつつある。


 そう、RAIが酔わないなんて、大間違いだ。彼女らは日ごろからフルパワーで活動している反動からか、迎賓館でのパーティになると自ら理性を保つユニットのビット落ちか、ユニットそのものを遮断して、人間でいうところの酔った状態になることができる。


 むしろRAIが人間と同じように理性や感情を持っている分、疲弊も激しく、解放した時の反動はそれはそれは大きいのだ。


「リリアねーさまはー、カノンのことをどうおもっているのれすかー?」

「カノンちゃんはねえ、とってもたいせつないもうとらよー」


 カノンがAI衛星キャノンの迫力でリリアに迫る。リリアはケモミミをぴこぴこさせながら、カノンを優しくなだめている。うっかりカノンを暴走させようものなら、惑星エリシアが吹き飛びかねない大砲娘だ。


「ハルトさん、ハルトさんはティアナのフィアンセだよねー、そこにいるルミねえもフイアンセだよねえー、どっちがしゅきなのー」


 ティアナがハルトにからみ、その様子をエリオット国王がじっと見ている。ティアナは王女でもあるのだから父が娘を心配するのは当然なのだが・・・ハルトにとってはとてもうっとおしい。


「ハルトたいちょ~、ルミナのこと、ほんとーに、しゅきー?」

 酔っぱらって理性が吹き飛んだルミナがティアナをにらみながらハルトに詰め寄っている。


「RAIが二日酔いにならずに酔うにはこうすればいいかも・・」

 ひとりぶつぶつと言いながら怪しげな器具を操作しているのはアリスだ。アリスの周囲には眷属であるマイクロマシンが飛び回り、アリスの不気味さを増幅している。


 そして、最初は緊張していた本日の主役チョコ・ショコラは黒ネコとしてちびちびとミルクらしきものをなめつつ、食事を口にする。


「チョコ、大丈夫?酔っちゃった?」

 そうチョコに声をかけたのはノバだ。


 ノバはヤンキーらしく、床に座ってチョコにミルクをなめさせながら、自分もけっこう飲んで酔っている感じだ。


「ノバ様、チョコはここの仲間に入れて頂き、幸せでござるよ」

 チョコはそうノバにいいながら、幸せをかみしめる。


 ノバがオルカ号に突っ込んでくれなければ、宇宙の果てまで吹っ飛んでいたかもしれない身の上だ。



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