#その315 それじゃあ、行くよ、ビルドアップ、フェニックス3号!
#その315
「スペースバイク、リフトオン、OK。次、チョコ、ノバの後ろに移動して」
「チョコ、承知でござる」
チョコはアリスの指示通りの場所に移動する。黒ネコ チョコ・ショコラがスペースバイクの後方にちょこんと座っているのはなんだかシュールな眺めだ。
「チョコ、リフトオン、OK。さて、じゃあ、ノバ姉とチョコが新メカになるよ」
「はーい」
「承知」
「ほええ」
デッキ内には様々な返事が聞こえる。
「それじゃあ、行くよ、ビルドアップ、フェニックス3号!」
アリスが決め台詞を叫びながらデッキ内に設置したアリス工房出張カウンターに設置したコントロールスイッチの一つをぽちっと押しこむ。
しゅーいん。デッキ内には作動音が静かに響く。スペースバイクとチョコは光に包まれて、浮上する。そして、デッキ内の真ん中に浮遊する。
赤を基調としたスペースバイクを包み込むように黒ネコチョコをイメージさせる黒いブースタを合体したその姿は、スペースバトルバイク、失礼、スペースレスキューバイクへとビルドアップしたフェニックス3号である。
「うっわーかっけー」
真っ先に大声を上げたのはティアナである。
「ノバ、跨ってみて」
「アリス姉、ありがとう」
「チョコ、跨っていい?」
ノバはチョコに声をかける。
「ノバ様、どうぞ。拙者はノバ様のために存在しているでござる」
チョコがそういうので、では遠慮なくとノバはさっそく跨ってみる。
フェニックス3号は見かけはごついが、着座部分はノバ用にカスタムされており、お尻がぴたっとなじむ。
ハンドルまでの距離、高さもベストフイットされていて、振り向くとアリスがどや顔してサムズアップしている。
「チョコ、フェニックス3号、システム起動して」
アリスがチョコに命じる。