#その309 あのう、いいにくいんだけど、仰向けになって、こう、お腹をべろんと見せて欲しいんだけど
#その309
「うん、オルカ号のAIを入れ替えたらコレ、チョコ・ショコラが出てきたんだよね」
ルミナは目を白黒させてノバとチョコ・ショコラを交互に見ている。
「そうなんだ、あっ、アリス、いいところに来たね」
ノバが連れてきた珍客を一目見ようと、アリスが右舷デッキに降りてくる。
「ねえ、アリス、この子、チョコ・ショコラの素性を調べてもらえるかな」
ルミナがアリスにお願いする。
「ルミ姉、オッケー、そういうと思って用意してきたよ」
アリスはそういうと測定器らしいものをセットしたテーブルを右舷デッキから押し出して、ノバとチョコ・ショコラに向かう。
「チョコ・ショコラさん、初めまして、フェニックス隊でノバ姉の妹分、アリスといいます、よろしくね」
「拙者チョコ・ショコラと申します、アリス殿、こちらこそよろしくお願いいたす」
「さっそくだけどチョコ・ショコラさん、このテーブルの上に載って検査を受けてもらえますかね」
チョコ・ショコラは初対面のアリスからいきなり検査と言われて逡巡したようであるが、他に選択しはなさそうなので、こくりとうなずく。
「アリス殿、これでよろしいかの?」
チョコはそういうとテーブルの上にちょこんと座る。
「チョコ・ショコラさん、あのう、いいにくいんだけど、仰向けになって、こう、お腹をべろんと見せて欲しいんだけど」
「アリス殿、これでいかがであろう?」
チョコ・ショコラはそういうとためらいながらもアリスに言われたとおりの格好になる。
「うわあ、かっわいい」
万歳降参のかっこうをする黒ネコ姿のチョコ・ショコラはこの世の可愛いを代表しているように見える。
「チョコ・ショコラさん、じゃあ検査を始めますよ」
「よろしくお頼み申す」
アリスはチョコ・ショコラの返事を聞くと、さっそく測定を開始する。
「チョコ・ショコラさん、終わりましたよ」
「えっ、もう終わりなのか?」
「ルミ姉、ノバ姉、結果が出たよ、ここで言っちゃっていい?」
「ってことは、アリス、よい知らせなんだな」




