#その308 きゃあー、可愛いネコちゃん、ノバ、このネコどうしたの?
#その308
「じゃあ、オウアクの拠点はまだわかんないね」
「ここから先はスペースポリスに任せようね」
ノバは周囲を警戒するふりをしてフェニックス2号の周囲を航行するが、これは体内に収納しているチョコ・ショコラの正体が不明のために、フェニックス2号に持ち込めないためである。
犬や猫を拾ったら、獣医さんで健康診断を受けて、病気にかかっていないか、寄生虫を持っていないか診察を受けるまで、触れ合うことができないことと似ている。
そんなわけで、チョコ・ショコラはまだフェニックス隊旗艦ルミナスには持ち込めないわけである。よってノバがチョコ・ショコラを収納していることはまだ誰も知らない。ノバはどうやってルミ姉に切り出そうかと思案中である。
「ルミ姉、ただいま」
「ノバ、お帰り、右舷デッキから帰艦、どうぞ」
「ルミ姉、あのね」
右舷デッキ直前で減速してもたもたしてノバにルミナが催促する。
「ノバ、どうしたの?早く着艦してよ」
ノバはチョコ・ショコラのことをどうやってルミナに切り出そうか、いい案が思い浮かばない。
「ルミ姉、あのね」
「もう、どうしたのよノバ、ちゃっちゃと着艦しなさいってば」
「いやね、ルミナ姉にちょっと見てもらいたいものがあってさ」
「なに?また変なもの拾ったの?」
「うん、まあそんなとこかな」
「わかったわ。今行くから待ってて」
ルミナはそういうと、右舷デッキに向かう。ノバは右舷デッキハッチ付近でスペースバイクにまたがってもたもたとしている。
「で、なんなのよ?その私に見てもらいたいものって?」
「ルミ姉、これなんだけど」
ノバはそういうと、チョコ・ショコラを自分の体内から出して、ハッチ横に実体化させる。チョコはノバの肩や頭のあたりをくるくると回り、時折ルミナの方を向いて、にゃあ、と鳴いているであろう仕草をする。
「チョコ、あんた黒ネコだったんだ?」
「ノバ様、そうでござるよ、可愛いでござろう?」
チョコ・ショコラはふふんと、得意そうだ。
「きゃあー、可愛いネコちゃん、ノバ、このネコどうしたの?」