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#その304 そんな、ノバ様、このままでは私は自爆するしか道がなさそうです・・・

#その304


 次に船外につながるハッチを開けると箱状の爆発部と思われるユニットを排出する。そして何事もなかったかのようにエンジン出力を80%に上昇してそのまま保つ。


 惑星エリシアから離れ始めてしまったが、今なら時間はかかるが惑星軌道にまだ戻ることができそうだ。この一部始終を見ていたサイト船長は状況の好転に目を丸くして驚いている。


「これでもうオルカ号は大丈夫ですよ、サイト船長」

「ノバさん、ありがとう」


「うん、いいんだよ。さてと、用も済んだし、じゃあノバはルミナスに帰ろかな」

「本当になんといってお礼を言えばいいのか、わかりません」


「あっ、オルカ号は後で、旗艦ルミナスかフェニックス2号にでも牽引させれば、確実に惑星エリシアに戻れるから安心してね」


 ノバがサイト船長と話をしていると、ブリッジのモニタになにかもやもやしたものが写っていることに気が付く。


「あれ、航法ユニットAIさん、正気に戻った?」

 ノバの問いかけにAIはおずおずと遠慮がちに答える。


「あの、すみません、RAIノバ様、私はこれからどうすればいいのでしょうか」

 オルカ号航法ユニットAIは困ったような口調でノバに尋ねる。


「あなたはオルカ号航法ユニットとしてこれまで通り働けばいいんじゃないかなあ」

「ノバ様、私はオルカ号の航法ユニットとして強制されたとはいえ、この船を裏切り、オウアクの命令に従ってしまいました」


「それは仕方なかったんじゃないかなあ」

 ノバはだんだん雲行きが怪しくなるオルカ号AIとの会話が嫌になってくる。


「あの、ノバ様、言いにくいのですが・・」

「オルカ号航法ユニットAI、それ以上は言わなくていいよ」


「そんな、ノバ様、このままでは私は自爆するしか道がなさそうです・・・」

「おいおい、早まるなよ、このノバが悪いみたいで後味が悪いじゃないか」


「ノバ様、私はこの船のために長いこと働いてきたのです」

「ふむふむ、それで?」


「それがこのような結果を招いていしまい、私は死んでも死に切れません・・・」

「わかった、わかったよ、オルカ号AI、あんたは悪くないよ」


「しかし、それでは私が納得できません」

「うーん、じゃあさ、名前をつけてあげようか?」

「名前ですか?」


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