#その300 小癪な連中だ、貴様ら、じゃまをするなら、オルカ号もろとも吹っ飛ばすぞ
#その300
「あなた方がオウアクらぶなことはわかったわ。でも今回だけはフェニックス隊初接近記念ということで、オルカ号に乗っている人たちを全員解放してもらえないかしら」
「それはできない相談だな、せっかくの獲物オルカ号を届けないと、守護神様が怒るからな」
「ノバよりティアナへ、ありがとう、ただ今をもって作戦開始するよ」
「了解!」
「アリス姉、お願いね」
「任せてノバちゃん」
アリスはそういうと、フェニックス2号のコンテナを宇宙空間に射出して、空間ロックをかける。そして、コンテナの上部ハッチを開き、オルカ号の後方の空間に向けて何か細かい物体を射出する。
その何かはオルカ号の後部上方でで爆発したように見え、細かな塵が宇宙空間に爆散する。だが、遠くからは塵に見えた物体はすぐにひとかたまりになると意思を持った霧のようにオルカ号を包み込む。オルカ号の姿はうっすらとしか視認できなくなる。
アリスがモニタを見ながら成功を確認して、親指を立てて合図する。
「なんだ、これは?」
オウアクは何が起こったのかすぐにはわからない。
「アリスより、あの塵はアリス特製マイクロマシン達です。外部からの通信を遮断して、妨害を防ぎます」
「小癪な連中だ、貴様ら、じゃまをするなら、オルカ号もろとも吹っ飛ばすぞ」
「アリスより、強がりはやめて、オウアクさん?」
「ティアナ、今のうちに乗組員を救助して」
「ティアナ了解」
ティアナはマイクロマシンをコーティングして運ばれた脱出用ポッドをオルカ号の緊急脱出用ハッチに接続する。
「オルカ号船長へ、脱出用ポッドを接続しました。すぐに乗り移ってください」
「オルカ号船長サイトだ、救助ありがとう、みんなを乗り込ませるよ」
「よし、これで救出は完了」
旗艦ルミナスから誘導用レーザーが照射されて、ポッドは塵をまとったまま、ルミナスに向かう。
レスキューできそうだとハルトは安堵する。その時、サイト船長より通信が入る。
「オルカ号船長より、フェニックス隊のみなさん、ありがとう、俺は船長らしくオルカ号と最後まで一緒にいたい、わがままを許して欲しい」