#その297 あのね、リリアとアリス姉、カノンちゃんを連れて行ってもいいかな
#その297
「ルミナよりハルト隊長、オルカ号が外宇宙脱出速度を超えました、このままだとどんどん加速します、どうしますか?」
ハルトはブリッジにある隊長用コンソールを眺めながら考える。その時、ノバが手を挙げる。
「ハルト隊長、ノバが行くよ」
静寂を破って、ノバが軽く手を上げて、名乗り出る。
「ノバありがとう、オルカ号の爆発を防ぎながら引き戻す勝算はあるのか」
「うん、もちろん、あるよ、任せて」
ハルトはノバの目をじっと見つめる。
「ハルト隊長、そんなに見つめるとノバの顔に穴が開いちゃうよ」
ハルトに見つめられて、ノバは恥ずかしそうに目線をそらす。
ハルトはノバの眼の底に固い決意を感じ取って、ノバに声をかける。
「わかった、ノバに任せる」
「ハルト船長、お願いがあるんだけど、いいかな」
「なんだノバ、言ってみろ」
「あのね、リリアとアリス姉、カノンちゃんを連れて行ってもいいかな」
「ああ、もちろん、OKだ」
「それとね、フェニックス2号を使わせてね」
「ノバ、いいぞ、全て了解だ、しっかり頼むぞ」
ハルトからノバへの信頼は厚い。
「ノバ、お願いね、頼んだわよ」
ルミナもノバに声をかける。ルミナからノバへの信頼ももちろん厚い。
「うん、大丈夫だよ、任せてね」
そういうとノバは自分の席をよっこらしょと立ちあがる。
ハルトとノバの会話を聞いていたリリアとカノンも一緒に席を立つ。アリスは工房から向かうのであろう。そしてブリッジの分厚い扉を開けるて廊下に出る。艦内リフトを器用に使うと、左舷デッキに向かう。
旗艦ルミナスのブリッジにはハルトとルミナが残される。
「ルミナ、ノバは何をする気なんだ?」
実はハルトはノバがどうやってレスキューするのか皆目見当がつかない。それで、ノバがいなくなってからルミナに聞いているのだ。
「それは見てのお楽しみです」