#その295 オウアク、貴様らの組織は絶対に許さないからな
#その295
「なんだ、聞こえているじゃないですか?、オウアク?がお名前ですか?」
「フェニックス1号と言ったな、そちらの要求には一切応じない」
オウアクはティアナの質問に要点を巧みにずらして返答する。
「1号よりオウアク、オウアクってあの悪名が高くなりつつあるオウアクさん?」
「そうだ、オルカ号はそのまま宇宙の果てまで走ってもらうつもりだ」
これも質問の答えになっていない。だが、応答をする気はあるらしい。
「そうだ、オウアクってちょっと前に惑星エリシアのセレスタワーを乗っ取った組織だよね?」
「そうだ、よく知っているな、オウアクもずいぶん名前が売れてきたってことか?」
オウアクが初めてまともな会話に応じたとき、ティアナの表情が一気に変わる。
「オウアク、貴様らの組織は絶対に許さないからな」
ティアナは突然オウアクに対して声を荒げる。
「おお、怖い、怖い、有名なレスキュー隊フェニックスは実はスペースマフィアの集まりですかねえ」
オウアクはティアナを挑発する。これはまずいと判断したハルトは間髪入れずにティアナに通信を入れる。
「フェニックス隊隊長より1号へ、間もなくそちらに到着する」
「1号よりフェニックス隊隊長へ、了解」
ハルトはティアナの応答を確認する。完全に暴走しなくてすんだようだ。ティアナが本気で暴走したら、宇宙広しと言えども誰も止めることができそうもないからな。
「ルミナ、旗艦ルミナスはオルカ号後部10000につけて」
「はい、ハルト隊長」
「フェニックス1号、オルカ号右舷後方につけて」
「フェニックス1号より隊長、了解」
ハルトはルミナに命じて旗艦ルミナスをオルカ号に後方に接近させ、フェニックス1号をオルカ号の右後方に移動させる。
「オウアクよりイルカ号へ」
「こちらオルカ号、今度は何ですか」
船長サイトは予想がつかないオウアクの司令に嫌気が差しつつある。そのような気持ちは態度にも現れるので、返事にも悪意がこめられるようになる。そんなサイトの気持ちを知ってか知らずかオウアクは続ける。