#その292 プラズマジェネレータから重力コントローラにエネルギー注入開始
#その292
「ハルト隊長、先行発進しても先に行ってもいいすかねえ?」
ティアナは出動したくて仕方がないらしい。
「おい、ティアナ、細かな状況は現場に向かう途中で報告がある予定だ。わかり次第送信でいいのか?」
「ハルト隊長、それでOKです」
「装備はどうしてる?」
「ティアロイドSにビルドアップしてます」
「仕方ないやつだな、じゃあ、先に行ってよし」
「ティアナ、了解!」
ティアナは天井ドームが開き始めるのを確認すると同時に飛び出す。
「ティアナ、先行きまーす」
ずきゅーん、ティアロイドSにビルドアップされたティアナがカタパルトからすごい勢いで射出されて、大空に向かって飛び出す。
生身の人間であればとても耐えきれない加速Gであるが、ティアロイドに変身したティアナには物足りないくらいだ。
フェニックスベース迎賓館1階ソファ、出動ビークルはけっこうな速さで動き出すと、そのままスペースレスキュー隊フェニックス旗艦ルミナスに収納される。ビークルはルミナス内を移動するとアリスを工場で降ろして、ブリッジまで一気に移動する。
ハルト達隊員はブリッジに入ると、それぞれの持ち場に着席して、ルミナスの発進準備を行う。旗艦ルミナスはドック内でアイドリング状態になっており、ルミナスのエネルギーを生み出すプラズマジェネレータは低レベルの動作をしている。
「よしルミナ、俺たちも出動だ」
「ルミナ了解、補助エンジン出力上昇、プラズマジェネレータ動作開始」
しゅいーんとプラズマ圧縮音が後方より聞こえてくる。
「プラズマジェネレータから重力コントローラにエネルギー注入開始」
「よし、スペースレスキュー隊フェニックス旗艦ルミナス発進!」
ルミナの指示で旗艦ルミナスはドック内で浮上を始める。
ルミナの号令と共に、旗艦ルミナスはプラズマジェネレータが発生するエネルギーを使い、重力コントローラを制御する。
惑星エリシア地上で量子プラズマツインエンジンを始動すると、環境負荷が大きい。そこで大気圏を離脱するまでは、補助エンジンを使って、プラズマジェネレータを作動、重力コントロールのみで、重力圏を脱出することにしている。