#その290 ちぇっ、ついてないな、他にも船はいっぱいあるのに何もオルカ号を狙わなくてもいいものを、どうしてくれるんだ
#その290
いたずら犯はこの船の船内をモニタしているようなのだ。
{サイト船長、次の指令だ、「この船には爆弾が仕掛けられた、停船すると爆発する仕組みになっている」この文面を船内と惑星エリシアをはじめとする関係各所に連絡しろ}
サイトは犯罪者の無茶な要求に屈することはできないと常日頃は考えている。なので、答えは一つだ。
「そんなことはできない」
「じゃあ、このまま宇宙の藻屑となるだけだ」
短いやりとりではあるが、サイトは犯人の本気度を感じて、考えを変える。こいつはためらうことなく爆破スイッチを押すタイプに思える。
「・・・わかった、船内放送と同時に各所に通知する」
サイト船長は様々な方策やリスクを考えた挙句、犯人の言うとおりにすることに決める。船内放送を惑星エリシア宇宙港管制と同期する。
「お客様に連絡します、当船には爆弾が仕掛けられている模様です。停船すると爆発すると犯人は言っています。犯人の要求に従うために惑星エリシア惑星軌道及び衛星軌道には入らず、そのまま通過します」
サイト船長はそう船内放送でアナウンスする。エリシア宇宙港管制官からはもちろん問い合わせが入る。
「こちら惑星エリシア宇宙港管制、エリルク惑星間フェリーオルカ号、聞こえますか」
「宇宙港管制、こちらオルカ号船長サイトです」
「今の連絡は本当のことですか」
「こちらオルカ号、もちろん本当です」
「了解、しばらくは犯人の要求通りの行動をお願いします」
「オルカ号了解」
船長サイトは通信を終えると深くため息をつく。ちぇっ、ついてないな、他にも船はいっぱいあるのに何もオルカ号を狙わなくてもいいものを、どうしてくれるんだ。
なぜこんなありきたりなフェリーを狙うのか?。頭の中では煮えくり返る怒りをなんとか押さえつけて船長サイトは対策を考え続ける。
*出動スペースレスキュー隊フェニックス
その頃、爆破連絡を受けた惑星エリシアでは大騒ぎとなっている。
「エリクルフェリー オルカ号に爆破予告が入った、救援体制を整えてくれ」