#その29 プロトコルユニットである航法ユニットがこの船には搭載されていません
#その29
「船長、了解」
ルミナはそういうと、船をぐっと加速する。宙賊母艦は回避するまでもなく派手な爆炎を上げて、絶賛沈没中のようだ。宇宙船ルミナのプラズマライフルはけっこう威力が高い・・・らしい。
「船長、敵宙賊、沈黙しました。」
「ルミナへ、よし、この宙域を離脱する。コロニーにはしばらくの別れとなるかな」
ハルトはそういうと、宇宙船ルミナの速度を上げて、この宙域を離脱する。
「船長、どこを目標地点としますか」
「そうだな、ルミナが知っている地球の環境に似た惑星はいくつあるんだい?」
「船長の言う地球とは酸素と窒素からなる大気に地表が覆われていて、H2Oを成分とする液体が大量に存在する惑星でいいのでしょうか」
「ルミナにその記憶があるということはけっこう期待してもいいのかな」
「ハルト船長、地球型惑星は私のデータベースに3つ見つかりましたよ」
「ルミナ、じゃあ、そこを順番に回ってみようか。」
「ご期待に添える惑星だといいのですが、訪問したことはないので、自信はないです」
自信なさそうなルミナを見ると、ごめんなさいという気持ちがあふれてしまう。
「ルミナ、その惑星は遠いのか?」
「そうですね、けっこう遠いですよ」
「どの位?」
「光の速度で表現しないと駄目なくらい、です」
「そうか、宇宙船ルミナで行けそうなのか?」
「船長、インターワープを経由すれば行けます」
「そうか、ワープか」
ハルトはずいぶん前に流行ったワープして宇宙の彼方へ旅をするSFアニメを思い出して、わくわくする。
「この船にはインターワープするのに必要な航法ユニットが搭載されていません。なので、ワープ航法ユニットをなんとかして入手しなくてはなりません。
「えっ、そうなの、宇宙船ルミナはこのままでは光の速度を超えるインターワープはできないってこと?」
「はい、そのとおりです。インターワープに必要なのは航法ユニットとハイパードライブ加速装置です。ハイパードライブは宇宙船ルミナに装備されているはずなのですが、なぜか私からは認識できず、使用不可です。そして肝心のインターワープを利用するためのプロトコルユニットである航法ユニットがこの船には搭載されていません」