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#その288 いつしか人は惑星間航行に挑戦することをスペースドリームと呼んでいる

#その288


 しかし、借金をしてでもオルカ号に乗船するチャンスがあり、別惑星と一度でも貿易をすることができれば、一生食うことに困らない報酬と惑星間航行者という名誉を得ることができることは子供でも知っている。


 そのためにいつしか人は惑星間航行に挑戦することをスペースドリームと呼んでいる。だが、惑星間航行でなくても宇宙航行にはいつでも危険が伴う。惑星間航行ともなればその危険は1000倍とも言われている。報酬が高くなるのは当たり前なのだ。


 「惑星エリシアは惑星ルクレアから最も近い惑星ではあるけれど、途中インターワープ3を経由しなくてはならないので、費用もそれなりに高くつく。それでも物資を輸出入すれば差益でけっこう儲けることができるから、乗客はいつも多いかな」


 サイト船長は独り言をつぶやくと、操船室にある船内放送用のマイクを手に取る。


「乗客の皆様にお知らせします。当船はまもなくIW3をワープアウトします。どなた様もお席にお戻りの上、座席ロックをご確認してください」


「さて、今回も惑星エリシアに無事到着しないとな」

 サイト船長はそうつぶやくと自分もパイロット席に着席しシートロックをする。


 エリシアとルクレアを結ぶ定期航路フェリーオルカ号は順調にIW3をワープアウトし、IWS3アルファに接近する。周囲に危険となるデブリは見当たらず、まずまず安全な宙域と考えていい。


 オルカ号の船長サイトは航法ユニットが表示する宙域マップを見ている。宇宙空間はとても広い。このオルカ号のブリッジからも外の景色はもちろん見えるが、ぽつぽつと遠くに恒星が見えるくらいで、窓の外には暗闇が広がっている。


 なので、宇宙船には本来窓などは不要なのだが、外を見ることができないと、人間はとても不安を感じてしまうので、気持ちを落ち着かせるためだけに窓があるらしい。


 実際の操船のほとんどはブラックボックスである航法ユニットがやってくれる。手動で操船することなどは宇宙港で接岸する最後の瞬間まで通常航行であればない。


 だが、宇宙船の航行に責任を持つのはあくまでも人間ということになっている。広すぎる宇宙空間を旅するにはナビゲーションユニットが欠かせないし、インターワープを通過するにはこの航法ユニットを装備する以外の方法は今までのところ見つかっていない。


 船長サイトは、船内時間の朝6時に起床して、身支度を済ませると、そのまま仕事場であるブリッジに出勤する。


 ブリッジに出勤すると、寝ている間の航行記録に目を通して、問題になることが発生していないかどうか一通り確認する。


 惑星エリシアや惑星ルクレア、インターワープステーション3アルファやベータと定期通信を行えば、朝もいい時間になっている。乗客向けの食事はオートレストランで好きなものを好きなだけ食べるシステムになっているので、接客はアンドロイドに任せておいてほぼ大丈夫だ。


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