#その28 よし、敵宙賊母艦ロックオンよし、3,2,1,0、撃て!
#その28
「じゃあ、火気管制ユニットが見つかるまでは船長である俺が火器管制を担当するよ」
ハルトの返答を聞き、ルミナの顔に笑みが広がる。
「ルミナ了解、船長ありがとうございます、けっこう大変だと思うのですが、よろしいのですか?」
「ルミナへ、なんとかなるよ、任せとけ」
「船長へ、うれしいです。可能な限りサポートします。」
ハルトとルミナの間で話はまとまる。
ハルトは得意とするゲームの中で敵をせん滅する様々な火器について試していたので、宇宙船ルミナの火器管制にきっと役に立つはずだ。
「よし、プラズマライフルエネルギー充填完了したようだ」
「船長、プラズマライフルエネルギー100%、充填完了」
「よし、照準合わせるぞ。ライフルスコープ、オン!」
「ルミナ了解、スコープと発射トリガの権限を船長に委譲します」
ハルトは眼前に降りてきたライフルスコープを覗く。そこには宇宙空間を動く敵宙賊母艦が鮮明に映し出されている。
通常であれば、火気管制ユニットがあり、一度ターゲットを合わせれば、後は自動でターゲットを追尾し続けてくれるのであろう。今はハルトが目視しながら手動でライフルを動かしてターゲットを追って照準を合わせ続ける。
「船長、大丈夫ですか、疲れないですか」
「大丈夫だよ、こんなのどうってことないよ」
ルミナは心配してくれるが人類は1000年前からすでにゲームというアイテムを入手し、一般人もスペースバトルゲームで日夜自主的訓練にいそしむ時代をハルトは経験している。
やっててよかったバトルゲーム、である。そんな訳でハルトにとって、この程度の敵であれば、ゲームで何度も戦っているので、手動でも簡単に追尾し続けることができる。
「ルミナへ、そろそろ撃っちゃっていいか?」
「船長、もちろんOKです、やっちゃってください」
「よし、敵宙賊母艦ロックオンよし、3,2,1,0、撃て!」
ハルトは渡されたプラズマライフルのトリガをジワリと引き絞る。
しゅいーん、その瞬間宇宙空間を1本のプラズマ光線が走り、攻撃回避中の宙賊母艦のどてっぱらを突き抜ける。命中だ。
「ルミナ、敵反撃に備えて、ただちに面舵いっぱい、両絃全速で離脱」