#その279 ティアナより、それでいいです、作戦は順調ですよ
#その279
「うんうん、安心してお任せください」
「ミーナミ、小さな虫っぽいメカがサンディ号を覆い尽くしているぞ」
「うん、これがきっとフェニックス隊自慢のレスキューメカだよ」
「サンディ号より、メカが船体を覆い尽くしています」
「ティアナより、それでいいです、作戦は順調ですよ」
ティアナは途切れることなくサンディ号に話しかけて、船内がパニックになることを防ごうとしている。せっかく助かりそうなのに、乗組員やお客さんがパニックを起こすと、内部で破壊活動が起こる可能性があることをティアナは知っている。
リリアは惑星エリシアに向けて加速しながら降下するサンディ号に張り付いているレスキューメカ、UKASUを起動する。
「ティアナよりリリア、UKASUはいい具合に船体を覆い尽くしたよ」
「リリアよりアリス、UKASU達起動して」
「アリス了解、操縦はそっちに任せるよ」
リリアはアリスに言われて、カノンと共にレスキューメカUKASUの操縦を始める。
「カノン、頑張りまーす」
そういうと、リリアとカノンはUKASU達の重力コントローラの出力を全開にする。
リリアとカノンは多数のUKASUをリアルタイムかつ同時多重に制御をはじめる。二人はお互いの意識をつないでシンクロすることで、情報交換が活発になる。
レスキューメカUKASU達の正体は超小型のプラズマ重力コントローラである。アリスががんばってマイクロマシンとして生成した技術の賜物なのだ。
UKASU達は個別のメカでありながら、動物や昆虫の群れの性質を持っている。個々の能力は低くても多数が集まると活性化し、一つの目標達成のために集団行動ができる優れたメカたちだ。これを作るアリスも、制御して能力を活かせるリリアとカノンも素晴らしい能力を持っている。
サンディ号は惑星エリシアの重力圏に到達後、すぐに大気圏に突入する。
「ティアナよりサンディ号、大気圏突入操縦はできますか?」
「サンディ号より、シミュレータでやっているので、できると思います」
「そう、じゃあ大丈夫ね、速度はアシストしているから、ゆっくりだよ、落ち着いて操縦してね」
「ティアナさん了解、がんばります」
ミーナミとミーシャは慣れない大気圏突入シーケンスながらも必死でこなしている。この調子なら大丈夫そうだ。