#その277 リリアよりルミナ艦長、フェニックス2号コンテナ搭載完了、発進します
#その277
ティアナはそういうと、再びサンディ号にアンカーを打ち込み、ワイヤで自分とサンディ号を結ぶことに成功する。
「おりゃあ!」
そして、ティアナはバーニアを噴射してその場に踏みとどまるように制御する。
「これでどうだー」
だが、すでに加速しているサンディ号を減速させるにはティアロイドでは出力が足りない。せいぜい加速度をにぶらせることができる程度だ。
「ちくしょー、誰か、手を貸してー」
ティアナの叫びにアリスが手を挙げる。
「はい、アリスよりハルト司令、私にやらせてください!」
「よし、アリス任せる、やってみろ」
これまで様子を伺いながら、作戦を練っていたアリスが名乗りを上げる。
「アリスよりリリア、フェニックス2号を出して」
「リリア了解、フェニックス2号発進準備に入るね」
アリスとリリア、そしてカノンは艦内リフトをつかむと左舷デッキにすぐさま向かう。フェニックス2号は胴体に着脱可能なコンテナを搭載できる荷物運びが得意なキャリア型小型宇宙船だ。
3人はフェニッスク2号に乗り込むとシートに着座して、発進準備に専念する。
「アリスよりリリアへ、今日は1号コンテナを装備して欲しい」
「リリア了解」
リリアはそういうと、コンテナ装着用オートコンテナローダを動かす。アリスはレスキューシーンをいくつか想定している。
そのシーンに見合うメカ装備をあらかじめ準備しておき、コンテナにパッケージしてあるのだ。オートコンテナローダはフェニックス2号にパッケージされたコンテナを素早く搭載セットするための設備だ。
オートコンテナローダが素早く動いて、アリス指定の装備を搭載した1号コンテナをフェニックス2号に搭載する。アリスはいまのところコンテナを1~5号まで準備している。
「リリアよりルミナ艦長、フェニックス2号コンテナ搭載完了、発進します」
リリア、カノン、そしてアリスが搭乗したフェニックス2号は小型プラズマエンジンを始動する。旗艦ルミナスはプラズマジェネレータが生成するプラズマエネルギーをメインエネルギーとしているが、フェニックス2号は機内に搭載したプラズマタンクにルミナスからプラズマエネルギーを注入して使っている。