#その276 あっ、こんちくしょうめ 待てー、待ちやがれー 今度は逃がさないから-
#その276
停船命令が出てから100000位は平気で進んでしまうのは当たり前であるが、旗艦ルミナスはプラズマエンジンを高度に制御することにより、短距離停船を実現している。
「リリア、右舷デッキからストレートアーム出して、アリスはアームの延長をお願い」
「リリア了解」
「アリス了解」
ルミナスが停船すると、ノバはその場でルミナスを旋回し、サンディ号と同じ方向に艦首を向ける。リリアはデッキより固定用アームを出して、サンディ号のキャッチに備える。
「ルミナよりノバへ、微速前進、サンディ号の後ろに回り込んで」
「ノバ了解、やってみる」
ノバは補助エンジンを使って、そろそろとサンディ号の後ろに回り込む。
「リリア、アームを伸ばしてサンディ号をキャッチして」
「ティアナ、補助をお願い」
サンディ号に張り付いてるティアナは、リリアが伸ばしたアームで捕まえることができるように方向を必死で調整している。
「リリア、これでどう?サンディ号をキャッチできる?」
「リリア了解、できそう・・よしょっと!、よし、できたよ」
ルミナスから伸びたアームはサンディ号を見事にキャッチする。そのまま右舷デッキに収納するためにゆっくりとアームを縮める。
「ティアナよりリリア、いいよ、いいよ、その調子、あと少し・・・」
ティアロイドが見ながら、微調整のパラメータをリリアに送る。もう少しで、右舷デッキにサンディ号を収納できるその時、突然サンディ号のエンジンが再始動する。
「こちらサンディ号、突然エンジンが始動、制御不能のまま、全開になってます」
突然エンジン全開になったサンディ号は、せっかくもう少しで収納されるところだったのに、アームを引きちぎって、重力圏内に向かって暴走、全速で突っ込み始める。
ティアロイドはその衝撃でサンディ号から振り落とされて、付近をぐるぐると回転する。
「あっ、こんちくしょうめ」
振り落とされて回転していたフェニックス1号ことティアロイド・ティアナは、姿勢制御により体制を立て直しサンディ号を追尾する。
「待てー、待ちやがれー」
必死で追いかけるティアロイドはなんとか追いついく。
「今度は逃がさないから-」