#その275 レスキュー艦ルミナスへサンディ号を収納しましょう
#その275
「何度もやっています、でも全くだめです」
「補助電源ももうじき停止します、レスキューをお願いします」
だが、サンディ号のエンジンは回復しない。過熱であればそろそろ再始動できても良さそうであるが、だめらしい。
心細そうなサンディ号ミーナミたちの現状を把握したティアナは、即座に行動を起こす。まずサンディ号に接近し、ティアロイドからワイヤを発射する。ワイヤはサンディ号のボディに吸着し、ロックと通信回線の確保を行う。
「サンディ号へ、今、そちらとワイヤで結んだので、会話も安定すると思いますよ」
「フェニックス1号、ありがとう、だんだん落ち着いてきました」
ティアナはサンディ号の雰囲気が落ち着いているのを会話から確認して、ほっと一息つく。
「サンディ号より、これからエンジン再始動を試みます、補助電源もあと10分で切れます」
「フェニックス1了解、やってみてください」
「サンディ号より、では行きます、補助エンジン、3,2,1,始動!」
サンディ号はまず補助エンジンの始動から試みるが、やはり始動しない。
「サンディ号ミーナミよりティアナへ、やはりだめです」
「ティアナよりサンディ号へ、了解、残念です」
「ルミナよりティアナへ、もうじきそちらに接近します、様子はどう?」
「ルミナ艦長へ、どんどん流されています。ティアナがコンタクトしているおかげで船内は落ち着いているようです」
「ルミナよりティアナへ、レスキュー艦ルミナスへサンディ号を収納しましょう」
「ハルト隊長、ルミナスへの収納でいいですか、こちらにもリスクがあります」
「ハルトよりルミナへ、時間がないからまず収納を試してみようか」
「ルミナよりティアナへ、それではサンディ号を本艦ルミナス右舷デッキへの収納を試みましょう、作戦スタートよろしい?」
「ティアナ了解」
「ハルトより総員、作戦スタート、詳細はモニタで確認」
ハルトはそういうと、モニタに示されているサンディ号をルミナスへ収納する作戦を承認する。
「ハルトよりノバへ、ルミナス逆進、その場で停船」
「ノバ了解」
ルミナスはノバがかけたエンジン逆進によりその場で停船する。大気による摩擦抵抗がない宇宙空間における停船は言葉でいうほど簡単ではない。