#その273 ノバ、重力コントロール作動、レスキュー艦ルミナス、テイクオフ
#その273
「総員、ビークルへ搭乗!」
「隊長、了解」
迎賓館では全員がびしっと立ち上がると、ホールに準備されているビークルに乗り込む。ビークルは地上を高速走行したのち、レスキュー艦ルミナスにそのまま収納される。
艦内で停止すると、隊員が座っている座席が丸ごとリフトアップされて、ルミナスのブリッジに運ばれる。
なお、停止した段階で、ティアナだけはビークルを降りて、左舷メカドックへと艦内ベルトに乗って移動する。アリスも同様にアリス工場へと移動する。アリスはレスキューアイテム生成の準備に取り掛かるのであろう。
ブリッジに入った隊員は自分の指定座席に座る。艦長ルミナは艦長席に座ると、リフトアップされて座席がブリッジ内を見渡すことができる位置に固定される。隊長ハルトは艦長席の一段後ろの席になる。
「ルミナより総員、スペースレスキュー隊フェニックス旗艦ルミナス発進します。ドームオープン」
「リリアより、ドックドームオープンします」
リリアが操作すると、フェニックスベース天井の岩が左右に開いて、惑星エリシアの青空が見える。ルミナスが発進シーケンスに入ると、付近一帯の空域と宙域は全て進入禁止になる。
「ノバ、プラズマジェネレータ作動、補助エンジン始動して」
「ノバ了解、既に補助エンジン始動してるよ」
「ノバ、重力コントロール作動、レスキュー艦ルミナス、テイクオフ」
「ノバ了解、テイクオフするよ」
ノバがそういうと地表重量100万はあろうかと思われるレスキュー艦ルミナスは重力コントロールのおかげでふわっと静かに浮上を開始する。
「ルミ姉、このまま重力圏外まで上昇するよ、上昇スピードは80をキープ」
「ルミナよりノバ了解、リリア、周囲警戒して」
「リリア了解、今のところ、不審なオブジェクトは見当たらず、だよ」
「ルミナより、よし、上昇ペースアップ120、惑星エリシア重力圏内を出て」
ルミナの指揮によりレスキュー艦ルミナスはぐんぐん上昇する。下へ下へと流れゆく雲と周囲の青さを眺めながらハルトはレスキュー方法について考えを巡らす。
左舷デッキのティアナは3mサイズのティアロイドSにビルドアップする。アリスがマイクロマシンを駆使して製作した身長可変型ティアロイドはアリス自慢の一品だ。
「ルミ姉、惑星エリシアの重力圏を離脱」