#その271 メーデー、メーデー、こちら宇宙船サンディ号・・・
#その271
「おれら、このまま、燃えちゃうのかな」
「管制より、このままだとサンディ号は燃えます」
「どうすれば、イイデスカ」
「すぐにスペースレスキュー隊フェニックスに救助要請してください」
そうだ、ここにはスペースレスキュー隊フェニックスの調査に来たんだっけ、まさか自分たちが助けを呼ぶことになるとは思わなかったが・・・もうためらっている時間はない。ミーナミはそう判断すると、マイクをつかんで航海宇宙周波数にセットすると、力いっぱい叫ぶ。
「メーデー、メーデー、こちら宇宙船サンディ号、エンジントラブルで惑星エリシアの大気圏で燃え尽きてしまう、助けて欲しい・・」
*スペースレスキュー隊フェニックスベースにて
「メーデー、メーデー、こちら宇宙船サンディ号・・・」
フェニックスベースでは中継なしでサンディ号からのレスキュー要請を受信する。ダイレクト受信ということはここからすぐ近くで災害や事故が発生していることを意味する。
「ルミナよりハルト隊長、宇宙船サンディ号よりレスキュー信号を受信しました」
「ルミナ、サンディ号にまず現在どんな様子なのかを聞きだしてくれ」
「ルミナ了解、ただちにヒアリングに入ります」
ルミナはそういうと、正面モニタを向き直り、口元のマイクの位置を確かめる。
「サンディ号、サンディ号、こちらスペースレスキュー隊フェニックス、何が起こっているのか知りたいので、こちらの質問に答えてくださいね」
ルミナは緊急事態に陥っているサンディ号から状況を少しでも詳しく聞き出すためのファーストヒアリングを開始する。
「こちらサンディ号、サンディ号、救助をお願いします。メインエンジン故障、惑星エリシア重力圏に引き込まれています」
「現在地はどこですか?」
「惑星エリシアの衛星軌道と重力圏の間あたりです」
「まず、深呼吸しましょう、3回大きく息を吸ってゆっくり吐いてを繰り返してください、さあ、どうぞ」
サンディ号の声の主は本当に深呼吸をしている様子がうかがえる。声の感じからしてまだ若い人のようだ。
「フェニックス隊、深呼吸終わりました」