#その27 船長ごめんなさい、宇宙船ルミナでは火器管制ユニットは使用不可、です
#その27
ハルト船長、船長席にお座りください」
「ありがとう、さっそく座らせてもらおう」
ハルトはかるくうなずくとそこに着座する。
シートは90度回転するとアームによって持ち上がり、操船室全体を見渡せる位置に固定される。シートに装備されている各種モニタと指令装置がハルトの周囲に展開される。
宇宙船ルミナの船長として正式に迎えられた気持ちになり、ハルトは次の指令をルミナに出す。
「ルミナ、さあ、いくよ!目標、コロニーに接近中の宙賊母艦!」
ハルトがそう命ずると、操船室のモニターに敵の艦影が映る。最初にやってきた突撃艦の大きさに比べると母艦だけあって、さすがに大きい。
「ルミナへ、今使える武器を教えてくれ。体当たりはできれば避けたいと思う」
「ルミナ了解、ハルト船長が宇宙船ルミナにの船長に就任してくれたので、プラズマライフルが使えます」
「ルミナへ、それはいいな。すぐ使えるのか?」
「ルミナ了解、プラズマライフルにプラズマジェネレータよりエネルギーを充填する必要があります」
「ルミナ、それにはどのくらいかかるんだ?」
「船長へ、あと30秒で使用可能です。」
「ルミナへ、プラズマライフル発射準備、エネルギー充填そのまま継続」
「ルミナ、了解」
「ルミナへ、プラズマライフル、目標敵宙賊母艦、距離測定後、火器管制照準自動追尾モードに入れ」
ハルトはゲームで磨き抜いた船長のつもりになって指示を出す。
「ルミナ・・・・・」
が、ルミナの反応はにぶい。
「ルミナ、どうした」
「船長ごめんなさい、宇宙船ルミナでは火器管制ユニットは使用不可、です」
「えっ、どうしたの・・・」
「ほんとうにごめんなさい、RAIルミナは宇宙船ルミナ本体として残れたのですが、RAI航法ユニットやRAI火気管制ユニットはちりぢりになってしまい、行方不明なのです」
「そうか、それは大変だったね、辛かったね」
「もう、どうすればいいか私にもわかりません」
ルミナは今にも泣きそうである。ルミナの困惑を受けて、ハルトが決断する。