#その266 おい、サンディ号を借りれたぞ、じゃあお前が船長な
#その266
「みんなそう思ってるよ」
「だからな、親父にサンディ号を貸してくれるように頼むつもりなんだ」
ミーナミは自信たっぷりに言う。
「おいおい、自慢のサンディ号を親父さん貸してくれそうなのか?」
ミーシャが尋ねる。
「ああ、宇宙船航行普通免許取ったら貸してくれる約束になってるんだ。そろそろ頼んでもいいんじゃないかと思ってる」
ミーナミは勝算があるようだ。
「じゃあ、まずはお願いしてみてくれよ」
アミルも乗り気だ。
「ああ、わかってる。」
さっそくミーナミは父親ににサンディ号を貸して欲しいとお願いすると、日ごろのまじめな学生ぶりが評価されて、夏休みに無事貸してもらう約束ができる。
「おい、サンディ号を借りれたぞ」
ミーナミはミーシャとアミルに話すと、二人は手放しで喜んでくれる。
「ミーナミ、ありがとう。じゃあお前が船長な」
ミーシャが言う。
「じゃあ、ミーシャが航海士、アミルが機関士でいいよな」
「おう、もちろんそれでいいよ」
役割を決めた3人は惑星エリシアまでの運航計画を立てたり、学習マシンで船長、航海士、機関士のチュートリアルを受けるなどして出発の日までを過ごす。
短い宇宙旅行とはいえ、宇宙空間は危険があちこちにあるので、油断はならない。ミーナミの父親は自家用クルーザとはいえ宇宙船を自力で運航できるようになった息子の願いがうれしくて、最初の運航は遊覧航行でOKと思っている。
それでも惑星エリシアのスペースレスキュー隊のうわさが最近気になるので、調べてくるように形ばかりのミッションを与える。
このミッションをこなすには、惑星エリシアへの大気圏突入をこなす必要があるが、サンディ号のオートクルーズは優秀なので、任せておけば問題ないだろうと判断する。
ミーナミたちは夏休みまでの短期間に宇宙船サンディ号を3人で運航するためのトレーニングを重ねる。それと並行して、積み込む荷物の調達、あちこちに提出する書類の始末などをこなす。
こうした手続きをひとつひとつ積み重ねることはきっと宇宙大学を卒業してからも役に立つだろうと、機会を与えてくれた父親に感謝する。