#その263 他のガッコウと違って宇宙大学だけは授業は週に6日あるしな?
#その263
ミーナミ、ミーシャ、アミルの3人はインターワープステーション3アルファにある宇宙大学学士最高学年の同窓生だ。
3人とも宇宙大学では宇宙総合学部に所属し、宇宙航法や宇宙船工学を学んでいる。宇宙大学学士卒業後は、3人ともそのまま大学院へ進学する予定だ。
宇宙大学学士課程では宇宙飛行士に必要な共通知識をようやく学び追える程度だ。実際に仕事として活躍するにはその基礎の上に、自分の専門と言える分野を学ばなくてはならない。
つまり、宇宙飛行士は宇宙船を飛ばすことができる知識技能に加えて、航法や宇宙マップ、医療などの専門知識を見につけて初めて一人前と呼ばれる過酷な職業である。
そんなわけで、進学する大学院では医学や宇宙理論などをそれぞれ専攻して、立派な宇宙飛行士となり、惑星系を股にかけて活躍(稼ぐ)できる人材となるべく3人は修行中の身なのである。
「でも、宇宙大学って本当に大変だよな」
機関士席で計器を眺めているアミルが突然言い出す。
「ん? いきなりなんだよ?」
ミーシャが聞き返す。
「いや、だってさ、他のガッコウと違って宇宙大学だけは授業は週に6日あるしな?」
アミルは続ける。
「まあな、でもそれって学ぶことが多いから仕方ないよ。」
ミーシャが言うと、ミーナミも笑いながら答える。
「ははは、イマドキ学習マシン使っても習得するのにこれだけの期間がかかる大学って、宇宙関係くらいじゃないかな?」
ミーナミが言うとおり、宇宙世界での学習とは、学習マシンに身を預けて、頭脳に直接知識を注入する方法主流である。
以前は目と手足を動かして、脳みそを活性化する学習方法が普通であったが、宇宙に人類が進出しだすと、習得しなくてはならない膨大な知識を短期間で頭脳に押し込むために開発された方法が学習マシンだ。
学習マシンは、ヘルメットを頭にかぶって、数時間学習するタイプから、全身をカプセルに没入して、栄養剤を投入し、医師が全身状態を管理しながら、知識を強制的に注入するタイプまで様々だ。
ミーナミたちエリートと呼ばれる集団は全身タイプ学習マシンに適合する集団でもある。学習マシンは当人の努力とは関係なく知識を詰め込むことが可能であるが、適合していないといわゆる人格崩壊する恐れがあり、誰でも使えるわけではない。