#その260 ミーナミの髪は珍しく黒髪で仲間からは神様の召使と呼ばれている
#その260
廉価といっても地上に住んでいる人からすれば目の玉が飛び出るほどの高額だ。
こうしたクルーザー所有者は、船を出航するたびに個人的にお客さんを運んだり、荷物をちょっとだけ運ぶなどの小遣い稼ぎというには高額の報酬を得ることができるので、案外困らずに支払いができるようだ。さすがに惑星間の物資輸送正規料金はまだ手軽に利用できるとは言い難い。
惑星エリシアから一番近いIWS3インターワープステーション3アルファはIW3を利用するための惑星エリシア側の出入りを管理するために設けられた宇宙ステーションだ。
大規模な宇宙ステーションを一から人工物で構築するのはかなり大変であるので、割と近くの隕石ベルト帯から大きめの隕石を引っ張ってきて、静止軌道に設置して、そこに宇宙ステーションに必要な構造物を建築するのが割と多い建設方法となっている。
IWS3アルファは30kほどの大きさで、標準的な宇宙ステーションといえる。IW3は回転することで、人工重力が生じており、さらに外側にも居住地を設定できるように外殻を張り巡らせて、都市が建設されており、それはもうむだなく建物でびっしりと埋め尽くされている。
人口は1000万人と言われており、行政庁をはじめ、病院、学校、宿泊施設、宇宙港、軍事基地など惑星ルクレア以上の繁栄を見せている。
ここには宇宙連邦支所があり、大勢の宇宙公務員が勤務している。宇宙公務員は若者の就職先としてここ数年トップのひとつに上げられている。
宇宙公務員になるには、宇宙大学の入学して、大量の知識を詰め込まなくてはならない。まあそもそも宇宙大学に入学するには、この宇宙ステーションまでやってきて、受験申請やら実際に受験やらしなくてはならないだけで、惑星住まいの一般市民には敷居が高すぎて、幻の職業とも言われるのは致し方がないことであろう。
このインタワープ宇宙ステーションに勤務する、宇宙連邦職員の息子ミーナミは大学の仲間2人を誘って自家用小型クルーザサンディ号で惑星エリシアに向けて航行中だ。息子と言っても宇宙大学に通っているので、成人年齢は十分に超えている。
ミーナミは宇宙大学に通うエリート大学生らしく、見た目以上にがっしりとした体と180を超える身長と恵まれた体格を持ち、顔には学びの歴史を根拠とした自信と将来への希望で胸を膨らませているであろう様子が現れている。
髪は珍しく黒髪で仲間からは神様の召使と呼ばれている。サンディ号はミーナミの父親所有であることから、船長である。
ミーシャもミーナミに負けていない偉丈夫だ。髪は金に近い茶色で、白っぽい肌によく似あっている。ミーナミとはなにかにつけて気が合い、気が付けばいつも一緒にいる仲間になっている。サンディ号では副船長で航海士である。