#その257 人間だ、RAIだと分けて考える方がおかしいと思えてくる
#その257
ティアナは元々生身の人類だったらしいが、幼いころ事故にあった際に死を避けるために、自我や知性つまりティアナがティアナである部分をRAI化することで体から取り出し、生体アンドロイド化したらしい。詳細は不明であるが。
ハルトは実在RAIも人間も違いは全くない感じている。ルミナたちは行動範囲が制限されているが、人間だってそれは同じで、宇宙空間にでれば瞬死してしまうだろう。そう考えれば、人間だ、RAIだと分けて考える方がおかしいと思えてくるのだ。
「ルミナ、ノバ、リリア、カノン、アリス、そしてティアナ、今日はご苦労様」
慰労会の最後にハルトが全員を労う。
「皆さんのおかげで任務は無事完了できました」
エリオット国王も言う。
「では、解散だ」
ハルトが締める。
「みんな~オヤスミナサイ」
ティアナが元気よく手を振っている。
「またね~」
ケモミミのリリアとカノンも手を振っている。二人は同じ部屋で夜を一緒に過ごすのだろう。りり×カノ、うん、アリだな。
「私はこれから工房にこもりまーす」
アリスはそういうと、マイクロマシンを引き連れて、フェニックスベースにあるアリス工房へ、いそいそと向かう。
アリスにとっては工夫をこらしてモノづくりにいそしむのが何よりも慰労なのだ。
ノバは、ハルトが好きな気持ちに変わりはないと思う。だが、以前のように部屋に突撃する気持ちはなくなっている。今のフェニックス隊には自分が本気で愛する人は、認めたくはないが、いない・・ようだ。
エリオット国王とエリーナ女王は恋愛結婚ではなかったが、今では仲睦まじいという言葉が宇宙一似合う夫婦だ。
一人娘のティアナを事故で失いかけた時には、夫婦ともに生きる望みを失ったかのように生ける屍と化していた。
しかし、今は違う。ティアナはフェニックス隊一員として、自分の居場所を見つけている。その上、アマギハルトの妻に立候補して、ルミナとハルトを取り合っているではないか。そんなティアナを見守りながらエリーナと過ごす日々を今は大切にしているのだ。
「とんとんとん・・」