#その256 ハルト隊長はルミナ艦長と私ティアナの二人のものでいいですよ
#その256
「ルミナ艦長、そんなことは、ないですよ、ハルト隊長はルミナ艦長と私の二人のものでいいですよ」
ティアナが言う。
「そうかしら、私の方がいろいろと優先だからね」
ルミナが反論する。
「いえ、私の方が先だと思うのです」
ティアナも負けてはいない。
「おいおい、俺の取り合いをするのはやめてくれよ」
ハルトが絶叫する。
「私も、いつでもOKですよ」
ルミナが言う。
「ハルト隊長、私はいつでもOKですから」
ティアナだって負けてはいない。
そんな三人を他の隊員は遠巻きにして見ている。
「また、始まったようですね」
とはアリスだ。
アリスは惑星ルクレアから救出されたときは、ハルト一筋になるかもと思っていたが、眷属となるマイクロマシンが見つかってからは、彼ら彼女ら一筋なのだ。
「もう、割り込むすきがないよねえ」
ノバもハルトが好きなのだが、ルミナやティアナの好きとはちょっと違っていて、お兄ちゃん的に好きなんだと思う。
「私はカノンちゃんがいいなあ」
ケモミミリリアは衛星キャノン娘のカノンが見つかってからはカノン一筋だ。
火器管制の優秀な部下であるとともに、なくてはならない心の共になりつつある。二人を見ていると愛情とは男女にこだわらず、兵器とだって育むことができるようだ。
一見なごやかに見えるこのパーティも水面下では様々な駆け引きがあるらしい。だが、ハルトはスペースレスキュー隊フェニックスの面々は仲間であり、家族であり、深い愛情と信頼で結ばれたかけがえのないメンバーだと感じている。
実在RAIであるルミナたちは自分の肉体を持たない。フェニックス隊旗艦ルミナスの近くにいれば、ルミナ、ノバ、リリア、カノン、アリスは量子プラズマのおかげで実体化することができる。