#その254 私もわかりません、いにしえのオーバーテクノロジのようですね
#その254
H2O残ユニットはやがてフェニックスベースからは離れた海上に墜落し、盛大に爆発する。ティアナもプラズマエネルギーで自らの表面を覆って、摩擦熱から身を守りつつ大気圏に突入し、やがて無事フェニックスベースに帰還する。
「ハルト隊長、ティアナより、爆発しちゃったよ、敵はよくH2Oユニットなんかに偽装したね」
「ハルトより、ティアナよくやった、だがな、あんまり危ないことはしないでくれよ、ひやひやするからな」
ハルトはそういって、ティアナを戒めつつも任務成功にほっとする。
#任務完了、休息へ
スペースレスキュー隊フェニックスはきわどかったものの、初任務をどうにかこうにか無事に終了することができた。
H2Oユニットが暴走した原因こそ作業員二人の喧嘩により、工具が吹っ飛んだことなのであるが、途中から何者かが、意図的に動力を加えて、加速させたことは、フェニックス隊の証言により明らかである。
今後も、悪意を込めた事故が発生する可能性があることをフェニックス隊の面々は再確認することになる。
「しかし、このH2Oユニットはすごいな、原理はどうなってるの?」
ハルトがアリスに尋ねる。
「ハルト隊長、水素H2と酸素から水を合成できるんです」
「それは俺でも知ってるよ」
「で、水素と酸素は量子プラズマジェネレータで作れるんです」
「量子プラズマジェネレータって、原子も作れるの?」
「ええ、そういうことになりますね」
「で、その量子プラズマジェネレータを最初に使ったのは誰?」
「私もわかりません、いにしえのオーバーテクノロジのようですね」
「あっ、でもチキュウから伝わったと聞いています」
ルミナが突然思い出して言う。
「まあ、すぐにはわからないことが多いよね」
「ええ、そうですね」
「じゃあ、そろそろ迎賓館ホールで慰労会をしようじゃないか」
「そうですね、ハルト隊長」
ルミナが嬉しそうに言う。