#その250 ティアナより、ふあーい、です
#その250
普通の宇宙船であれば、船体破損を恐れてデブリ帯には近寄らないのであるが、ティアナは果敢にも突っ込んでいく。命知らずとか、切り込み隊長という言葉がティアナには似合いそうだ。
ティアナはわざわざティアロイドを加速して、迫ってくるデブリを避けることを楽しんでいるように見える。
「隊長よりティアナ」
「ティアナです」
「少し自重したらどうだ、スピードを緩めなさい」
「ティアナより、ふあーい、です」
勇敢なお姫様かと思えばこんなところがまだ子供だとハルトは思う。でも、誰もがびびって航行をためらうデブリ帯で遊ぶことができるのはティアナくらいのものだ。
「こちらフェニックス1号、デブリ帯抜けます」
ティアナがそういうと、旗艦ルミナスから通信が入る。
「こちらルミナです。よく聞こえます。そろそろH2Oユニットの見えているはずなのですが」
「あれですね・・・」
そういわれて見ると、なにか黒いものがプラズマ粒子に包まれながら動いているのがわかる。
「こちらフェニックス1号よりルミナへ、H2Oユニットらしきものを発見、これより接近します」
「ルミナより、ティアナ、慎重に接近して、嫌な予感がするの」
「はいはい、ルミ姉了解、大丈夫だよ」
ティアナはそういいながら、H2Oユニットに近づく。
「フェニックス1号よりルミナへ、H2Oユニットにこれより接触します」
「ルミナ了解、気を付けてね」
「こちらフェニックス1号、H2Oユニットらしき物体の真上にいます」
ティアナがそういうと、プラズマ粒子が晴れてH2Oユニットらしきものの全容が明らかになる。
それは直径10はありそうなごみのかたまりのように見える。デブリ帯で様々なデブリを取り込んで巨大化してしまったようだ。
「ティアナ、様子はどう?」
「ルミ姉へ、でかいけど、ごみはごみなのでは?」
ティアナはそういうと、元H2Oユニットにさらに接近する。
「ティアナ、フェニックス2号で破壊しちゃうから、しばらく追尾して」
「ティアナ、了解」