#その249 こちらフェニックス1号、プラズマに包まれます、へへ、こりゃいいや
#その249
「フェニックス1号よりリーフ、H2Oユニットが飛び去ったのは今の位置からどっち方面ですか?」
「リーフより、衛星オツキを背にして、座標軸10211215方面です」
「フェニックス1号より、っていうことはこの方向でいいですか」
ティアナはリーフに推定飛行方向を見せる。
「リーフより、ああ、そっちで合っています」
ティアナが宙域図を見ると、H2Oユニットが飛び去った方向にはデブリ帯がある。
「ティアナよりハルト隊長、H2Oはデブリ帯に向かってます」
「それはまずいぞ、H2Oが大きなデブリを巻き込んで、成長してしまう可能性が大だ」
「ティアナより、すぐにデブリ帯に向かいます」
「ティアナ、頼むぞ」
ティアナはそういうと、フェニックス1号の向きを変える。
「よし、行くか」
そういうとデブリ帯に向かって、加速する。
「こちらフェニックス1号、デブリ帯に突入します」
ティアナがそういうと、旗艦ルミナスから無線が入る。
「こちらルミナ、フェニックス1号聞こえますか?」
「はい、こちらフェニックス1号」
「デブリ帯は危険です。十分に注意してくださいね。それと、デブリをあまり刺激しないようにお願いします」
「了解しました、艦長」
ティアナがそう答えると、すぐにデブリ帯に突入する。
「デブリ帯、突入します」
ティアナはそういうと、プラズマジェネレータの出力を上げる。
プラズマジェネレータからエネルギーが放射されて、フェニックス1号を包み込む。これはむき出しで装甲が薄いティアロイドを守るためにアリスが装備した機能だ。
「こちらフェニックス1号、プラズマに包まれます、へへ、こりゃいいや」
ティアナはそういうと、気を付けろと言われたばかりなのに、デブリ帯へ強引に突っ込んでいく。
ここのデブリ帯は、不法宇宙滞在者の破損した宇宙船の残骸や生活ごみ、それと宇宙戦艦時代のルミナスが宇宙ステーションを攻撃?した際のごみで構成されている。なので、デブリというには少々大きなものも混じっているのだ。