#その245 なんだ俺を知らないのか、現場監督のリーフだよ
#その245
リーフがそういうと、作業員二人はぎろりとリーフをにらむ。
「なんだてめえは?」
「なんだ俺を知らないのか、現場監督のリーフだよ」
「監督だかなんだか知らねえけどよ、俺たちには俺たちのやり方があるんだよ」
「なにをお、こんなとこで喧嘩して現場になにかあったら承知しないからな・・・」
「うるせえ!口を出すんじゃねえ」
「そうだ、これは俺たち二人の問題だ」
二人の作業員はそう言って再びにらみ合う。
「いいか、俺たちには俺たちのやり方がある」
「ああ、そうだ。誰にも文句は言わせねえ」
リーフはもう一度二人に声をかける。
「いや、だから・・・おい二人とももうその辺にしておけよ」
リーフがそういった瞬間、右手にいた男が持っていたスパナ状の工具が、男の手を離れて、宇宙空間に飛び出す。
「あ、あぶない!!」
リーフはそう叫ぶが、スパナ工具は宇宙空間に飛び出して見えなくなる。
そしてそれは運悪く2メートルくらい横で喧嘩をしていた別の作業員の大型機材に当たり、機材はそのまま宇宙ステーション建設予定地の資材置場に落下する。
どがーん・・・! 静かなオツキ宇宙ステーション建設現場は一気に騒然となる。
「おい、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ」
どうやら落下したのはH2O生成ユニットの資材置場だったらしく、保管してあったH2O生成ユニットから激しく水が噴き出している。
「これはまずい」
リーフはそう叫ぶと、水が噴き出しているH2Oユニットに向かう。
しかし、H2Oユニットは噴き出す水がジェット水流のようになり、激しく回転すると同時に地表から浮き上がり、宇宙空間へ滑り出す。
「おい、喧嘩したいた二人、管理事務所へこい・・・」