#その243 #衛星オツキ 宇宙ステーション建設急ピッチで進む
#その243
「・・・あぶない!」
ハルトはティアナが地表にぶつかるんじゃないかとひやひやの連続で思わず目をつぶるが、ティアナは平気な顔をして、地表に降り立っている。ティアナのバンジージャンプに肝を冷やすハルトである。
#衛星オツキ 宇宙ステーション建設急ピッチで進む
さて、衛星オツキでは宇宙ステーション建設が急ピッチで進む。宇宙ステーション建設現場は5つの工区に分かれていて、第1工区から第5工区まである。
計画では第1工区を優先して建設し、ここを作業基地とする。作業基地には建設現場事務所や作業員の宿舎、研修施設、商業施設、娯楽施設などを設置し、第2~第5工区と続く工事のベース基地となる。
ベース基地にはH2O水や酸素を生み出すライフライン供給基地も同時に設けて、宇宙ステーション完成後は現場事務所が役所となるなど重要な施設となる。
第1工区ではまず、宇宙ステーションのコア部分であるH2O生成ユニットを建設予定地に設置する。人は水と空気がなくては生きてゆくことができない。
そこでこのユニットが宇宙ステーションに水と空気を供給して、生活用水や工事用用水として利用するのだ。
作業員は惑星エリシアから向かう人員がやはり多い。宇宙建設作業は危険を伴うために、賃金が破格である。
ハルトがちょっと前にデブリ回収会社で働いて、短期間でまとまった賃金を得ることができたように、衛星オツキ作業現場の賃金も高額に設定されている。
もっとも、作業現場のオツキに行くだけでもかなりの運賃が必要となるし宇宙旅行には危険は付き物なので、初期費用を準備できて初めてスタートラインに立てるのだ。
地上の建設作業員は荒くれ者や流れ者が多いが、こと宇宙建設作業員は宇宙で活動できるだけの専門知識を持つ、エキスパートでもあるのだ。
そんな理由もあって、惑星エリシア衛星オツキ宇宙ステーション建設現場は多くの宇宙作業員を迎えて、活気を呈している。
「おーい、そこ、H2O生成ユニットをちゃんと固定しろよ」
リーフはこの衛星オツキ宇宙ステーション建設第1工区の現場監督の一人だ。オツキで大規模な宇宙ステーション建設が始まることを知って、一獲千金を目指して、すぐに応募した第1期組の一人だ。リーフはそういうと、現場に駆けつけてユニットを固定している作業員に声をかける。