#その241 1番ポートせつがーん
#その241
「ノバより艦長、間もなく衛星オツキ到着だよ」
「ノバ、着陸ポイントデータ来てるの?」
「ノバより、うん、エリオット司令がさっき送ってきたよ」
「ルミナより、じゃあ着陸ポイントセットして、そこへ行くよ」
「ノバ了解」
ノバとのやりとりは短いが、背後では膨大な航行データをやりとりしている。ノバはそれらの指令を的確に処理して、安全にルミナス航行する。
しばらく宇宙空間を航行すると惑星エリシアは徐々に小さくなり、代わりにオツキが大きく見える。
「ノバより、あっ、あそこが衛星オツキ着陸ポイントだ」
ノバはモニタで着陸ポイントを確認し、オツキ上に点滅する臨時宇宙港を目視する。
ノバは操船コンソールを少しだけ操作すると、モニタ位置と現在位置のずれを補正していく。宇宙空間には目標がないために、絶対位置はない。
それでもここは惑星エリシアとオツキに近いために比較的位置を特定しやすい宙域だ。
「ノバより、衛星オツキ仮設宇宙港に着陸接岸するよ」
「ルミナ了解、接岸は1番ポートにお願い」
「ノバ了解」
ノバはそういうと、重力コントローラを操作して、旗艦ルミナスを衛星オツキに向かって降下させていく。
オツキの遠目には美しい姿も、近づくとグレーのでこぼこした地表であることがわかる。
「1番ポートせつがーん」
ノバはそう宣言すると、旗艦ルミナスを1番ポートにそろりと着陸、接岸する。
接岸後、ポート両側よりロックアームが伸びてきて、旗艦ルミナスを固定する。
「ノバよりルミナ艦長、旗艦ルミナス、オツキ仮設ポート接岸完了、だよ」
「ルミナよりノバ、ご苦労様」
「ハルトからもノバへ、いい腕だねえ」
「ルミナより、アリス、リリア、カノンへ、右舷デッキよりコンテナ陸揚げ開始して」
「アリス了解、作業にかかります」
アリスを筆頭とする荷物担当3人はさっそく艦内をリフトで移動して右舷デッキに向かう。
「アリスより、リリア、カノン、右舷デッキ内のリフトを動かして、コンテナを船外に出してね」
「リリア、カノン了解」