#その24 ハルトさん、ようこそ、宇宙船ルミナへ 繰船室にご案内します
#その24
発進してしばらくは宇宙港の入出港の際に使うレーザーガイドに沿ってゆっくりとコロニーの外に向けて進む。コロニーから離れてしばらくするとコロニーの発する明かりも遠くなり、ほの暗くしか見えない宇宙空間に向かってポッドは滑るように前進する。
ルミナはポッドをコントロールするとコロニーと同じ衛星周回軌道にポッドを投入する。エンジンを停止し、しばらくは衛星周回軌道に進行を任せる。やがて、宇宙船ルミナが見えてくる。さっき見たばかりなのだけれど、近くで見るとけっこう大きいなと感じる。
「かっこいい船だなー」
ハルトは思わず声を上げる。
宇宙空間での存在感も十分あり、さっきの見た時よりもずいぶんかっこよく見える。
「ハルトさん、ようこそ宇宙船ルミナへ。ポッドを収納しますね!」
ルミナはそういうとポッドを遠隔操縦し、宇宙船ルミナの後部に停泊させる。
宇宙船ルミナの後部からは誘導用レーザーガイド光が照射されており、後部ハッチまで続いている。ポッドはレーザーガイドに合わせるように自動操縦されてハッチに近づく。その時、宇宙船の後部ハッチをゆっくりと開く。
「おお」
ハルトが感嘆の声をあげている間にポッドは後部ハッチ内の格納庫内に吸い込まれるように収納される。
格納庫内にポッドが入るとすぐに内部のハンガーフックが動作する。ポッドをフックがホールドして格納庫内の空いているハンガーにポッドを固定する。固定されたポッドのハッチが静かに開く。ハルトはポッドから身を乗り出すようにして下船する。
「ハルトさん、ようこそ、宇宙船ルミナへ。繰船室にご案内します。」
ハルトはルミナの声に従って、狭い通路を操船室に向かう。
ハルトが繰船室の前まで来ると分厚くてしかも厳重にロックがかかっているらしいドアがぷしゅっと音を立てて開く。
「ハルトさん、どうぞお入りください。ここが私の本体、宇宙船ルミナの操船室です」
「ルミナ、ありがとう。」
ハルトはそういうとドアをくぐって繰船室に入る。繰船室は外観通りガラス張りで眺めがいい。室内には何枚もの固定モニタと空中に投影されるモニタがあり、どちらも情報が映し出されている様子がとてもきれいだ。
ハルトが繰船室内をきょろきょろと見回していると、3Dビジョン化した等身大ルミナが声をかける。