#その239 高額報酬が約束されているのだから、コンテナをかき集めてくるのも無理はない
#その239
今回の輸送任務は旗艦ルミナスを公開する丁度良い機会なのだ。マスコミを集めて大々的に宣伝するよりも、こうして宇宙港周辺を立ち入り禁止にして遠くから撮影させた方が、人々の興味をより深くすると考えたのだ。
着陸した旗艦ルミナスの雄姿をあちこちできっと誰かが撮影しているだろう。そして秘密にすればするほど拡散するに違いない。
「・・・という要領でこの右舷デッキまで資材コンテナを運んでいただければ、あとは我々フェニックス隊がデッキ内に搬入します」
運送部隊へはアリスが右舷デッキ前で説明の真っ最中である。国王エリオット直々の告知があったこともあり、国中のコンテナというコンテナが集められているのではないかと感じるほどの個数がこの短い期間にぞくぞくと惑星エリシア宇宙港に集結している。
まあ、このコンテナに資材機材を詰めて送れば、高額報酬が約束されているのだから、コンテナをかき集めてくるのも無理はない。
「へえ、すごい数が来ているねえ」
アリスは宇宙港滑走路に積み上げられたコンテナを見て、感嘆の声をあげる。
接岸ポートの構造物に囲まれて一部しか見ることはできないが、旗艦ルミナス右舷デッキ前にはアリス特製ガントリークレーンが仮設されて、運ばれてくるコンテナを軽々と吊りあげては、右舷デッキ内に格納していく。
実は右舷デッキ内と各コンテナにはこれもアリス特製ミニ重力コントローラがこっそりと装着されて、コンテナの重量を軽減している。装着はもちろんリリアとカノンが担当しているのだ。
なので、クレーンは吊り上げ補助をしているだけで、手で持ち上げることができるくらいエネルギーは使っていない。ガントリークレーン上空にはティアロイドが巡回し、妨害があれば即刻撃墜してやるぞとの気迫を見せているのが、少々怖い。
ミニGコンのおかげで、コンテナ積み込み作業は予定よりも進み、早く終了する。
「アリス艦長、第1回目コンテナ積み込み作業完了しました」
「ご苦労さま、アリス、ガントリークレーン一旦撤収」
「アリス了解」
アリスはそういうと、接岸ポート外側にガントリークレーンを移動する。
積み込み作業を終えたリリア、カノン、アリスは旗艦ルミナスブリッジに戻ってくる。
「ハルト隊長、ルミナ艦長、コンテナ積み込み終わったよ」
「ああ、ご苦労様、個数が多くて大変だったね」
「ルミナ艦長、旗艦ルミナス出航してくれ」