#その235 ああ、面倒な予感はするが、無視はできなからな、つなげてくれ
#その235
今、最優先で建設されているのは、宇宙ステーションの機能を持つ宇宙港である。スペースレスキュー隊旗艦ルミナスは重力コントローラを装備しているために、巨体でありながら、自力で惑星エリシアの地上にある宇宙港に離発着できる。
だが、他の宇宙船はそうはいかない。惑星エリシアの重力から考えて、自力で地上に降りることは困難だ。この時代であっても重力コントローラは貴重なオーバーテクノロジであり、利用できる宇宙船は限られている。
そこで、多くの惑星で採用されているのが、衛星軌道などに宇宙ステーションを建設して、宇宙船はステーションを母港として離発着する方法である。この方法は太古の昔から採用されている。
宇宙ステーションと地上の宇宙港はシャトルまたは軌道エレベータで結ばれていることが多い。いずれにしても、宇宙ステーション方式であれば、大型宇宙船の建造も無重力下で行えば、容易になるために、宇宙ステーションには宇宙船ドックが建造されることも多い。
宇宙港は大きな円筒形の内部を取り囲む形にして、宇宙船が接岸できるデッキを建造する方法がスタンダードだ。
惑星エリシアはオウアクのちょっかいにより、地上とオツキを結ぶ輸送手段が現在復旧中となっており、オツキまで資材や機材をローコストで運ぶ手段がない。
そこで、オツキ宇宙ステーションの建設にレスキュー隊旗艦ルミナスが協力してくれないかと国王エリオット経由で打診が来ることになる。
「ハルト隊長」
「なんだ、ルミナ艦長」
「エリオット司令から通信です、接続しますか」
「ああ、面倒な予感はするが、無視はできなからな、つなげてくれ」
ハルトはそういうと、エリシア国王兼スペースレスキュー隊フェニックス司令長官であらせられるエリオットに顔を見せる。
「ハルト隊長、こんにちは、元気かね」
「エリオット司令、何か御用ですか」
「相談したいことがあるから、フェニックスベースに行ってもいいかね」
「エリオット司令はここの司令長官ですよ、一番偉い人なのですから、いつでも来てくれていいのですよ、というか、ここにいなくてはいけないのでは?」
「ほら、我は一応国王なので、セレス政庁にもいなきゃいけないのでな」
「そうですか。それで、オツキ宇宙ステーションの件ですか」
「ああ、そうだ」