#その233 食事ユニットは、値段を付ければビルが丸ごと買えるほどの価値があるんだよ
#その233
「ハルトさん、生卵なんて初めて見ましたわ。卵って生でも食べることができるのですね? 不思議です。それにこのどんぶりの中のごはんも初めて見ますわ。」
ティアナはTKGをしげしげとみて言う。
「まあそれはいいじゃない、試食してよ」
ティアナは言われるがままにどんぶりに生卵を割り入れて醤油をかけるとかき混ぜる。
箸でひと口食べると、そのおいしさに驚く。そしてもう一口食べてから、さらに驚く。実はこの日、ルミナはアリスに頼んで口内食事ユニットを取り付けている。
このユニットがあれば、RAIが人間と食事を楽しむことができるユニットだ。せっかくのユニットだが、ルミナはTKGなるものを口に運ぶことがどうしてもできなくて、笑ってごまかしながら躊躇している。
そこにティアナがTKGをしっかり口に入れておいしいを連発する。ルミナは対抗心からえいやっとTKGを箸を使って口にする。
「あっ、これ、おいしい」
一口食べてそう感じたルミナは箸が止まらなくなり、あっというまにTKGを完食する。その様子を見ていたハルトは安心して二人にいう。
「卵かけごはんを二人に喜んでもらえてうれしいよ。この食事は自分が前にいた世界ではごく当たり前の朝ごはんなんだよ。大好きでしょっちゅう食べていたんだ」
その話を聞いて、ハルトの思いを尊重することができて、本当に良かったとルミナは心から思う。後日そのことをアリスに言うと、
「食事ユニットは、値段を付ければビルが丸ごと買えるほどの価値があるんだよ、次はもっと高い食事をハルト船長にはおごってもらいなさいね」
と説教されてしまうルミナである。
スペースレスキュー隊フェニックスがここ惑星エルシアにエリオット・セレシア国王協力の元、誕生した。しかーし、フェニックス隊の存在を知らしめなければ、レスキュー要請は来ないであろう。
宣伝その1:スペースレスキュー隊フェニックス結成式及び任命式の様子は画像配信している。この宇宙ネット時代にどこまで拡散したかはわからないが、それなりにイイネはついている。
宣伝その2:アリス特製宣伝ロボットをアリス工房にて多数製造し、宇宙に向けて発射した。初期メッセージを理解できる知的生命体が捕獲すれば、自動的にフェニックス隊の説明をしてくれる優れものだ。この宣伝ロボットは、説明用のパネルを手で持って飛び回りながら情報配信するので、好評だ。