#その23 じゃあ、ポッドは出発します、ご注意くださーい
#その23
普段であれば、宇宙港ライズに入場するには手前のゲートにて厳しいチェックがあるが、今は非常時のためなのか、どさくさに紛れて簡単に3番ポートに入り込むことができる。3番ポート内を見回すと、白い丸みを帯びたポッドらしき乗り物が目に入る。
「これがルミナさんの言っていたポッドかな?」
ハルトが停泊しているポッドに近づくとポッドのハッチが静かに開く。
やはりこれだったと思っていると、
「ハルトさん、このポッドで間違いないです。乗ってください」
ポッド内部からルミナの声が聞こえるので、迷わずポッドに滑り込む。ハルトが乗り込むとポッドのハッチが静かに閉まり、しゅいんとロックがかかる音がする。ポッド内の照明が点灯し、前面モニターがルミナを映し出すと同時に、ルミナの声がモニターから聞こえる。
「ハルトさん、お待たせしました」
「ルミナさん、大丈夫だった?」
3Dルミナがハルトの前にあるディスプレイに現れる。今日はシルバーの宇宙服を着用している。ルミナの宇宙服姿はとても凛々しい。
「はい、私は無事です、大丈夫です!」
ルミナは元気よく答える。
「とばっちりで攻撃を受けることがなくてよかったよ」
ルミナの元気な声を聞いてハルトは少しだけ元気になる。
「でもコロニーの皆さんにはご迷惑をおかけしてしまいました・・・・」
「まあ、それは仕方ないよ、どうせ宙賊は放っておいてもこのコロニーを狙っていたんだからさ」
「ハルトさんにそういってもらうと少し気が楽になります」
「ルミナさん、それよりもこれからどうするの?」
ハルトはルミナを慰めながら尋ねる。
「はい、まずはハルトさんをこのポッドで宇宙船ルミナにご案内します」
ルミナは少し自信を回復させてハルトに告げる。
「ありがとう。いよいよルミナさんと一緒に過ごすことができるようになるんだね」
「はい!」
ルミナの元気な返事を聞いてハルトはうれしくなる。
「じゃあ、ポッドは出発します、ご注意くださーい」
ルミナのちょっと浮かれた、どこかで聞いたようなポッド内案内と共に白い小型ポッドは宇宙港3番ポートを静かに離岸し、宇宙に向けて発進する。