#その228 アリスのすごさと敵に回った時の恐ろしさを感じるのである
#その228
アリスの声で見上げるとそこにあるのは、国会議事堂か大統領官邸かと思わせるような重厚な建築物だ。
「ねえ、これ、アリスが作ってくれたの?」
ルミナが恐る恐るアリスに尋ねる。
「そうだよー、これがアリスの任務だからねー、ルミ姉がルミナスを統括するように自分はこういうことが得意なんだよね」
アリスはこともなげに言うが、一同は改めてアリスのすごさと敵に回った時の恐ろしさを感じるのである。
一同はFBGのエントランスをくぐって中に入る。内部は高級ホテルもかくやと思われる荘厳なつくりとなっている。
「いらっしゃいませ、ようこそFBGへ」
人間なのかアンドロイドなのか定かではないが、メイドさんが左右に居並んでハルト達を迎え入れてくれる。その並びにただ一人男性執事がいる。
「いらっしゃいませ」
そう言ってふかぶかと頭を下げる執事が顔を起こすと、その人物は、ハルトもよく知っている人である。
「エリオット様、こんなところで何をしているのでしょうか」
「ハルトさん、いやなみんなを待ちきれなくて、来ちゃったよ」
「お父さん、勝手に来たらだめでしょう?」
ティアナに叱られてエリオット国王はしゅんとしている。
「みんなの部屋番号は基本固定だから、キーはスマホに送るから、認証しておいてね」
「うん、わかった」
ノバの反応を見るにつけ、部屋のキーはたった今直接送られたらしい。ハルトのキーはスマホに送られているが、生体認証で基本的には不要だ。
「皆さん、キーは受け取りましたか?」
「ほーい」
ハルトも気分はすっかり観光客だ。
「今日はおとなしく帰るよ」
エリオット国王は今日のところはティアナに叱られたこともあり、すごすごとセレスタワーに帰るようだ。
「では、お部屋の階に上がります、後をついてきてください」