#その22 3番ポートにルミナからポッドを送ります。それに乗船してくださいね
#その22
「そうか、よかった、ほんとうに良かったよ」
現場事務所の所長が安心した顔でハルトを迎え入れる。
「まあ、こちらもプロだからね、宙賊程度にはやられるわけにはいかないよ!」
作業者の一人がそう叫んでいると、宇宙空間無線で連絡が入る。
「宙賊の母艦が接近中!総員退避せよ!」
どうやらコロニーを攻撃していた宙賊の本隊がこちらにやってくるようだ。
「みんな逃げろ!早く逃げるんだ、明日の集合場所は追って連絡するからな」
「明日も仕事するんですね」
「ははは、攻撃あるところにデブリあり、だからな。明日は稼ぎ時になること間違いなしだ」
主任はそう言って豪快に笑う。
「だから、今日はみんなちゃんと生き延びるんだぞ。アマギ君もどこかに避難してくれな」
「お心遣いありがとうございます。それではこれで退社します。」
ハルトはそういって、現場事務所の扉を開けるとコロニーの内部通路に出る。通路を歩いているとルミナから通信が入る。
「ハルトさん、今、大丈夫ですか」
「ルミナさん、ハルトです。今、現場事務所を出て、コロニー内通路を歩いているところです」
「ハルトさん、無事でよかったです。」
「ルミナさん、これからどうすればいい?」
どこかでどどーんと爆発音が聞こえるコロニー内をハルトはどきどきしながら歩く。
「ハルトさん、コロニーの宇宙港ライズの場所はわかりますか」
「うん、わかるよ。ここに来る前は宇宙港ライズにいたんだ」
ハルトは手元のスマホに宇宙港ライズまでのルートを表示する。
「そこの3番ポートにルミナからポッドを送ります。それに乗船してくださいね」
「わかった、そこまで5分くらいで着けそうだよ。」
「ハルトさん、近道しなくていいですからね。安全なルートでお願いします」
ハルトはルミナに釘をさされてしまう。
「ルミナさん、じゃあ、3番ポートに向かうよ」
ハルトはそういうと、コロニー内の通路を小走りに宇宙港ライズに向かう。
途中からは大通りなので、移動カートも増えてくるが、事故にならないように注意する。やがて宙賊第2波攻撃を迎え撃つ準備でごたごたしている宇宙港に到着する。