#その216 なるほど、我が婿ハルト殿は神様の使徒というわけじゃな
#その216
「それでは続けます、ここにいる宇宙戦艦ルミナスの乗組員の地位と処遇、そして活動をエリオット国王に認証して頂きたいのです」
ハルトはこれまで考えてきたことをこの場ですべて紹介という形で提案するつもりなのだ。
「ふむ、興味深い話だね、続けなさい」
エリオット国王は膝を乗り出して、話の続きを催促する。
よし、かかったぞ、と思いながらハルトは話を続ける。
「これからの宇宙戦艦ルミナスの活動は、スペースレスキュー活動、つまり宇宙空間における救助活動を主な目的にしたいと考えています」
ハルトはこれまで温め続けてきたスペースレスキュー活動計画について説明する。
「ほほう、我が国を活動拠点の基地に希望するも、宇宙戦艦ルミナスはこの国の戦力にはしないというのじゃな」
エリオットはもちろんティアナをハルトの嫁に差し出してでも、宇宙戦艦ルミナスを惑星エリシア防衛の戦力に加えたいと考えている。
それは決して恥ずかしいことではないし、ルミナスほどの戦力を国王が欲しがるのは無理もないことなのだ。だが、そんな欲望はハルトにはお見通しらしい。
「エリオット国王として希望が叶わず落胆されるかもしれませんが、その通りです」
「ふむ、レスキュー活動とはどのようなものじゃ?」
セレシア王国にはレスキューという概念はないらしい。ハルトはスペースレスキュー活動についてプレゼンを始める。
「それでは説明を始めます。こちらのモニタをご覧ください。スペースレスキュー活動というのは、主に宇宙空間や惑星において、事故や病気けがなど窮地に陥った人々を無償でタスケル行為です」
「それは神にのみ許される行為なのではないかな、我々一般人に認められるかのう?」
エリオット国王はスペースレスキュー活動にますます関心を深める。
ハルトはその質問は予想していたらしく、すぐに返答する。
「実はですね、宇宙戦艦ルミナスの乗組員、ルミナ、ノバ、リリア、アリス、カノン共に神様のお導きにより私ハルトがレスキューさせて頂きました。そして私ハルト自身もこことは別の異世界より神様のお導きにより転移した身のです。その結果を積み重ねて今に至っているのです」
「なるほど、我が婿ハルト殿は神様の使徒というわけじゃな」
「そうなりますかね」