#その215 宇宙戦艦ルミナスの母港となる専用の基地を建設する許可を頂けませんか
#その215
「えっ?俺が決めちゃっていいの?」
ハルトは心の中のどうしようかという気持ちを隠すために、わざと突拍子もない声を出して返事をする。
「ああ、いいとも」
エリオットもそうきたかと思いながら、今更だめだとも言えずに肯定するしかない。
「じゃあ、後で文句を言わないでくださいよ。ではエリオット国王にお願いがあります」
ハルトはそう切り出すと、エリオットに願いを具申する。
「ふむ、なんなりと申してみよ」
「それでは遠慮なく。まず一つ目です、ここ惑星エリシアに宇宙戦艦ルミナスの母港となる専用の基地を建設する許可を頂けませんか」
ハルトの願いはエリオットにとって意外なものであった。もっとこう己の欲望を具現化してくると予想していたのだ、金とか地位とか。
「うむ、その願いはしかと叶えよう」
エリオットは第一の願いを拒否する理由はない。
「エリオット国王、ありがとうございます」
ハルトは話をうまく切り出すことができて、ほっとしている。
「こちらとしても願ったりかなったりの提案じゃ。この惑星に宇宙戦艦ルミナスの基地があれば、ハルトと殿に{嫁に行く}ティアナと永遠に離れ離れになることはあるまい」
異議あり、ルミナは小声で言う。
「エリオット国王、{嫁に行く}の部分は取り消してください」
ルミナが間髪入れずに突っ込みを入れる。
「エリオット国王、ありがとうございます。{嫁に行く}の部分は保留でお願いします、ルミナ、それでいいな」
ティアナの嫁入り話は実はハルトにとってうれしい話だ。この星の王女であるティアナがハルトと正式に結婚してくれれば、ハルトは次期女王の婿になるかもしれず、様々な活動がやりやすくなる。
が、ルミナにご機嫌斜めになられて、宇宙中のRAI実在人工知能を敵に回すようなことになっては全く釣り合わない話だ。そんなことになっては大変なので、必死に訂正する。
「ハルト艦長、一つ目のお願いは承知したぞ」
エリオット国王はにやりと笑って承諾する。
「それでは二つ目のお願いです」
「ハルト艦長、続けてくれたまえ」