#その211 美しい女性がメイドさんにかしずかれてしずしずと入場してくる
#その211
午後2時ちょっとすぎにハルトはルミナとともにエリオット国王が待つセレスタワーに着く。ティアナは先に来ていたようで、既にエリオット国王と一緒に待っている。
「やあ、ハルト艦長とルミナ航海長おまたせしたかな?」
「いえ、準備するものがあって」
ハルトは挨拶代わりに社交辞令で返す。
エリオット国王は二人に入室を進める。二人が入った部屋には意外にもノバ、リリア、アリス、カノンとティアナ以外の全員が揃っている。
「あれ、みんなも来ていたんだ」
ルミナが言う。
「エリオット国王に呼ばれたんで、出先からみんな直行したんだよ」
ノバがみんなを代表して言う。
「みんな、忙しいところ集まってもらってすまないね。実はティアナのことについてだ」
「ティアナは何かしたんですか?」
ハルトが尋ねる。
「いやね、ティアナはこの惑星エリシアの王女であることは理解しているね」
エリオット国王はそういうとルミナに確認する。
「はい、存じております」
「今は、その王女であるティアナは宇宙戦艦ルミナスの乗組員として働いてもらっているわけだが・・・」
「あのー、エリオット国王そんな回りくどいこと言わないでくださいよ。我々はティアナはいつでもこの国に返すつもりはあるのです」
ハルトがエリオット国王に言う。
「いや、これはティアナと私のけじめとしてきちんとしておきたいのだ。ティアナはこの惑星エリシアの王女だ。だが、私たちの可愛い娘でもあるのでな」
「はい・・・」
「そこでだ・・・ハルト艦長、今後の身の振り方はティアナ自身に選んで欲しいと考えたのだよ」
「えっ?」
ハルトは突然のことに驚きを隠せない。
「さあ、主人公ティアナ王女のご入場だよ」
エリオット国王に言われて、ステージ横の階段を見ると若くて美しい女性がメイドさんにかしずかれてしずしずと入場してくる。