#その21 この宇宙船ルミナが私の本当の姿なんです
#その21
「ハルトさん、この宇宙船は宇宙船ルミナといいます。この宇宙船ルミナが私の本当の姿なんです」
「ルミナさん、かっこいいよ。惚れ惚れしちゃうよ」
3Dルミナはハルトに褒められてうれしい表情を浮かべている。
「ハルトさん、もう大丈夫です、あんな宙賊、相手にするまでもありません」
3Dルミナはそう言うと自分の本体である宇宙船ルミナにすっと吸い込まれて一体化する。
そして宇宙船ルミナを巧みに操縦して、宙賊の宇宙船に船首から体当たりする。すると、宙賊の宇宙船はあっという間に爆散してしまう。
「ルミナさん、体当たりなんかして大丈夫なの?、壊れたりしてないの?」
「ハルトさん、この位なら大丈夫ですよ。でも体当たりは相手が爆発すると巻き込まれる可能性があるから、あまりしたくないですね」
「そうだよね、わかるよ」
ハルトはルミナを心配して同意する。
「ハルトさんは、一度現場事務所に戻って、無事を報告してください。デブリ回収会社の皆さんが心配するといけないですからね。」
「わかった、そのあとはルミナと合流できるよね」
「こんな私ですが、一緒にいてくれますか」
「もちろんだとも、俺はルミナが大好きなんだからね」
ハルトはそういうと、宇宙服のバーニヤを操作して、コロニーへ戻り始める。
ハルトの進路には敵艦の残骸である大き目のデブリが多数宇宙空間をさまよっている。ハルトはバーニヤを巧みに操りながらデブリを回避する。
「あれあれ、こんなにデブリがあるんだから回収すれば一稼ぎできそうだぞ。」
ハルトはそう思いながらもルミナに会うために今はコロニーに無事たどり着くことを優先する。
ハルトはデブリにぶつかることも妨害を受けることもなくコロニーにあるデブリ回収会社の出入り用ハッチにたどり着く。
「おーい、天城君が無事だったぞー!」
現場事務所に帰ってくると、現場主任がハルトの帰りを待ち構えている。
「天城君!無事だったか!」
現場主任はハルトの肩を抱いて、ばんばんと叩きながらハルトの無事を確認する。
「はい、運よく大きなデブリの陰に入れたので、宙賊からは見えなかったようです」