#その202 アリスはその時のうっぷんを晴らすように今はモノを作り続けている
#その202
どうやらティアナはアリス工房をさらに効率よく稼働させるべく研究を始めたらしい。ティアナは自身のエネルギー供給について様々な試みを行っているので、エネルギーの扱いについては自信があるようだ。
「ティアナ、そこはじゃあお任せしてOKね」
アリスはそういうとタグロケットの生成に集中する。
ティアナはアリスが多数のタグロケットを生成している間に発射用カタパルトを創造する。1つのカタパルトに100基のタグロケットを装備することができる。
これを10基創造中だ。完成したカタパルトにアリスが生成したタグロケットをセットして、ノバが作成した誘導プログラムをロードする。
アリスが生成したタグロケットは小型ボディを無駄なく生かしてエンジンを搭載している。衛星ステーションの外壁に到達後に、スパイクを打ち込み、しっかり外壁に食い込む仕組みも一流の仕上がりだ。
個々のタグロケットの到着場所は、1000個のタグロケットで衛星ステーションを動かすために、ノバのプログラムで制御される。
この緻密な制御プログラムは宇宙ステーションの移動方向がずれないように自動補正するなど、対策もばっちりである。こんな高精度のタグロケットを、しかも使い捨てなのにたったの2時間で1000個も生成するとは驚きだ。
アリスは誰もいなくなった惑星でただ一人空中ドックを守り続けたと聞かされた。役に立つものづくりができなかったアリスはその時のうっぷんを晴らすように今はモノを作り続けている。
2h後、アリスとティアナはタグロケット1000基を作りきり、カタパルトにセットする。ルミナが操作して、カタパルトを後部ハッチに固定し、制御をノバに渡す。
「艦長より総員、タグロケット発射準備、3,2,1,0、発射!」
ノバはタグロケットの発射と同時に1000基同時に制御を行い、衛星軌道ステーションに向けて、計算通りの場所に到達できるように細かな修正を重ねる。
「ノバより艦長、間もなくタグロケットは衛星軌道ステーションに着弾するよ」
タグロケットは次々と衛星軌道ステーションに頭から着弾し、壁面にスパイクアームを出して自己固定する。
「アリスより艦長、タグロケット全弾固定完了」
「よし、ノバ、タグロケットエンジン始動」
「ノバより、タグロケットエンジン点火、方向と姿勢制御はじめ」