#その20 【挿絵ルミナⅠ】出現したのは小型の宇宙船である。小ぶりであるが、なかなかかっこいい
#その20
「ハルトさん、このエリアはデブリが少ないので、いったん離脱しましょう」
ルミナの助言でハルトはすぐにデブリ捕獲場所から離脱する。しかし、宙賊の攻撃は止まらない。コロニーに向かって攻撃を仕掛けてくるが、どうやら攻撃対象はハルトではなく、コロニーのようだ。つまり、狙いはこの宇宙港にある物資らしい。
「ねえ、ルミナさん、このままだと危ないかなあ」
「はい・・・ハルトさん、お願いがあります」
ルミナは真剣な顔をしてハルトに向かう。
「ルミナさん、なんでしょうか?」
「あの、私の本体を惑星から出してもいいでしょうか」
ルミナはためらいながら、ハルトに提案する。
「そっか、ようやく準備が整ったんだね」
「はい、でもハルトさんに本当の私を見せるのはとても怖いのです」
3Dルミナはとても心配そうだ。
「ルミナさん、そんなことないよ、あの朽ち果てた惑星に一人で1000年、もう出てきてもいいんじゃないかな」
#第1章 惑星アルメリア
#宇宙船ルミナ 発進!
「ハルトさん・・・わかりました。」
そういうと、ルミナはハルトの肩から飛び立つ。
そして、そのまま惑星の外殻に降り立つ。ルミナはまるで呪文を唱えるように静かに口を動かす。そして両手を少しずつ持ち上げると、惑星の地面が手の動きに併せて隆起する。
その隆起はやがて卵が割れるように左右に崩れ落ちる。その破片を払いのけるように、出現したのは小型の宇宙船である。小ぶりであるが、なかなかかっこいい。
全長は30mほどであるが、地球におけるジェット戦闘機によく似ている。操縦席と思われる部分が前方にあり、複数のガラスに覆われていることから複数の乗組員を収納することが予想される。
スマートな船首は、後部になるほど、丸みを帯びた胴体になり後部には大きなエンジンが備わる。小さな主翼は活動範囲が主に宇宙空間であることを示している。武装は船首に小型の機銃が見えるが、攻撃はあまり得意ではなさそうだ。
この宇宙船は宇宙空間を機敏に飛び回り、敵を威嚇しつつ、窮地を脱出するタイプの宇宙船なのだろう。