#その198 はい艦長、ハルトさんの気のすむまでやっちゃってください
#その198
「それはまた身勝手な教義ですねえ」
「そうなんだ、彼らの教祖が悪と認定した星々は、破壊するか資源を焼き尽くすかして、人や動物が住めないようにすることが目的らしい」
「あの、もしかして、惑星ルクレアの砂漠もその一派がやらかしたんですか」
「ハルト艦長、よくわかったね、彼らは破壊が難しいと思えばあのように星を変えてしまうこともためらうことなくできるんだ」
「エリオット様、彼らを根絶やしにすることなどすぐにはできそうもありません。でも、この星を救うお手伝い位なら宇宙戦艦ルミナスを使ってできるかもしれませんよ」
ハルトがそういうと、エリオット国王はハルトの手を握っていた手にさらに力をこめる。
「ハルト艦長、ありがとう、ありがとう」
エリオット国王に何度も礼を言われて、ハルトは具体的にはどうすればいいかを考え始める。
「ノバよりハルト艦長、衛星軌道上のステーションがわずかずつだけど、移動しているよ」
「ノバ、どういうことだ、わかりやすく説明してくれ」
「ノバより、えーっと、このまま動き続けると、この惑星に墜落することになるかなあ」
「なにー、まじか!?」
「エリオット様、聞いた通りです。奴らは衛星ステーションをこの星に落とす暴挙にでたようですね」
「ハルト艦長、奴らは最近過激さが増していて、他の星域でもひどいらしい。なんとか食い止めることはできないか?」
「エリオット様、それは正式な依頼としてお受けしてもいいですか?」
「ああ、契約もしよう、報酬は可能な限りの財産とティアナとその秘密でどうだ?」
「ルミナ、それでいいか?」
「はい艦長、ハルトさんの気のすむまでやっちゃってください」
「よし、わかった」
ハルトは力強くうなずくと、ゲストルームを出て、ブリッジに上がる。そしてキャプテンシートに着座する。
*惑星エリシア 対侵略者
「艦長より総員へ、宇宙船ルミナスはこれより惑星エルシア・エリオット国王陛下の命により侵略者を駆逐する。手始めにこの星に向かって落ちようとしている衛星軌道ステーションを救出する」
「リリア、了解」
「ノバ了解、エンジン快調だよ」
「リリア了解、いよいよ艦首主砲発射してもいいですか」




