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#その197 実はティアナはすでに私と一夜を共にしております

#その197


「その通りです。娘もお世話になっており、この恩は一生かかっても返せそうにありません」

 今度は王妃エリーナ・セレスが礼を言う。


「ハルト艦長、苗字の件でうそをつきました。ごめんなさい。本名を名乗れば、艦長に迷惑がかかるとあの時は思ったのです」


「ティアナ、気にすることはないよ。今はうまくいっているのだからそれでいい」

 ハルトは父母に会ったティアナが一緒に戻るのか気になったが、それを決めるのはティアナなので、質問はしなかった。


「エリオット国王様、エリーナ王妃様、実はティアナはすでに私と一夜を共にしております」

 ハルトがそう切り出すと、ティアナは耳まで顔を真っ赤にして俯き、セレス国王夫妻はびっくりして目を点にする。


「ハルト艦長殿、ティアナはまだまだ子供ですぞ、それを・・・」

 エリオットは言葉をいったん切るが、思い直して続ける。


「ティアナ、お前自身はどうなんだ、それでいいと思っているのか?」

 エリオット国王陛下は父親の顔となり、すごい形相で血相を変えてハルトに迫る。


「はい、お父様、ティアナはもう18歳なので大人です、自分で判断できていますから大丈夫です」

 ティアナはやれやれという顔をすると、父国王の顔を正面から見つめて堂々と答える。


「ティアナさんをこの艦にお迎えした当時は、惑星エリシアの王女様とはつゆ知らず、純粋な二人の好きの気持ちからそのような関係になったわけでして、今更とがめられても、どうすることもできないです、エリオットお父様」


 お父様と呼ばれてエリオット国王は目を白黒していたが、そこはさすがに一国の主、決断は早かった。


「ティアナ、いい人が見つかったようだな、ハルト艦長、こんな生意気なはねっかえりの娘ですが、よろしくお願いします」

 エリオット国王はそういうとハルトの手を握り、深々と頭を下げる。


 先ほどからその様子をじっと見つめていたエリーナ王妃も顔を真っ赤にしながら頭を下げる。この夫婦にとっては、ティアナに幸せになって欲しい以外の気持ちはこれっぽちもないのであろう。


「エリオット様、これからのことを相談しましょう、いつまでもこの艦をここに停泊しておくのもまずいでしょう?」


「ハルト艦長、それはそうだ。新国王オウアクは今のところ行方不明のようだが、彼の親派はまだ健在だ。彼らはこの星の政権を握りたいというよりも、ここを破壊することが目的のようなんだ」


「星の破壊とはまたなんでですかね」

「彼らの信ずるものからするとこの星は存在自体が悪なんだそうだ」


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